■ [大事なこと]最後は人
私も最初は話術、面白教材、教師ドラマ路線というごくごく当たり前の意識で教師になり、研究者になりました。しかし二十年以上研究を続けて分かったのは、最後は「人」の勝負であるということです。分かってみれば当たり前のことです。自分の小中高大の恩師を思い起こせばそうだと思います。
もちろん、話術、面白教材、教師ドラマ路線が無効であるとは言いません。ただ、それを使う「人」が大事なのです。多くのノウハウでは話術、面白教材、教師ドラマ路線の詳細は書いています。しかし、本当は何故それを使おうと思ったかという「人」が大事です。
リンカーンの言葉の通りに、多くの人を長く騙すことは出来ません。話術、面白教材、教師ドラマ路線のテクニックで子ども「達」を騙せるのは3ヶ月が限界です。
でも、「人」と言われても困りますよね。滝に打たれれば「人」が出来るのでしょうか?千日の間の行を行えば「人」が出来るのでしょうか?出来るかも知れませんが、多くの人はそれは出来ないでしょう。『学び合い』では「一人も見捨てない」という一点を押さえれば集団を管理できる「人」が出来ると考えています。
なお、上記は単なる経験論では無く、二十年間以上の学術データ・実践データによって構築されています。
■ [大事なこと]広げる
私の大好きな言葉に「自らの製品、サービス、プロセスを自ら陳腐化させることが、誰かに陳腐化させられることを防ぐ唯一の方法である。(ドラッカー)」という言葉があります。私は研究者ですので、『学び合い』の可能性の最先端を走り続けなければなりません。日本中の同志が思いもつかない可能性を見いだすのが私の仕事だと思っています。多くの教師には新興宗教と揶揄され、でも、同志の方にはごく普通の授業も二十年以上の研究の積み上げによって徐々に形成されているものです。5年後、10年後に同志の方がごく普通と思う、現在は「そ、それは・・・」と思う『学び合い』の実践を今やっています。
しかし、私は大学教師ではありますが、小学校、中学校の教師ではありません。高校教師だったのは四半世紀以上前です。当然、そこでの実際は今実践される方の方がご存じです。私はその方々に「可能性の種」をお渡しし、私のところに集まる全国の同志のノウハウを整理して提供しています。
今、本を作る関係で何人かの同志に原稿をお願いしています。それを読んで涙を流しています。可能性の種がどんどん育ち、私の予想を超えた大木となっていることに驚きます。そして、私が予想していない可能性の種を生み出しています。本当に素晴らしい。その可能性の種をより多くの方に伝えたい、と願っています。