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2013-01-19

[]最先端 10:20 最先端 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 最先端 - 西川純のメモ 最先端 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 個人ゼミの際、あるゼミ生から最近のゼミ生の研究成果を本や講演で紹介していないことを指摘されました。鋭いです。

 平成17年から18年頃には、多くの先生方が悩んでいるレベルのことは私にとっては解決済みなことなのです。最近になって紹介している異学年『学び合い』だって、その頃には既に基本は確立されています。

 現在、私が講演や本で紹介していることは殆ど平成18年以前に明らかにされたことばかりです。では、それ以降に明らかにしたことを何故、本や講演で紹介しないのでしょうか?それは先に進みすぎて、それを理解出来る人があまりにも少ないからです。そのため、市場として成り立たないのです。

 でも、平成18年以降に明らかにしたことを、ちょっと紹介しましょう。

●子どもが指導要領原文を読み解いて、その規準に基づいて具体的な基準を子ども達が作成します。そして自己評価するのです。それが『学び合い』によってどのように変化するかを明らかにする研究です。結論から言えば、小学生であっても比較的短い期間で教師も納得するような基準を子ども達全員が作成できるようになり、教師の評価に一致する自己評価できるという結果を出しています。そして、それは『学び合い』の結果であることも明らかにしています。が、答え合わせをするとき教師用指導書を見せることでビックリする先生方が多い現状では、宇宙人を見ました、と同じレベルで捉えられるでしょうね。

●子ども達が教科書を改良するのです。これまた、成績が向上して、素晴らしい教科書を作成します。つまり、子ども達が教科書作成者の立場でその教科を学ぶのです。

●『学び合い』だと、こどもの躾けが行き届かないと誤解している方がいます。しかし、『学び合い』では規範が育ちます。その構造を明がにした研究があります。結局、学習と同じように、2割の子どもがリードし、6割の子どもがフォローするという構造があるのです。

●ノート指導をしなければならないという先生がいます。しかし、『学び合い』によってノートは質が高くなります。その過程を明らかにした研究があります。

●『学び合い』によって教師の力量が向上することを明らかにする研究があります。しかし、ミニ理学部、ミニ文学部の知識が多いことが教師の力量だと思ったり、二流の芸人になることが良い教師の力量だと思っている現状において、なかなか理解されないでしょうね。

 そして、最近は学校全体の『学び合い』における教師集団の研究等をやっています。しかし、これは学校全体の『学び合い』を経験したことの無い人にはちんぷんかんぷんでしょう。そして、その集団を保護者集団に広げ、地域コミュニティに広げる研究をしています。さらにちんぷんかんぷんでしょうね。その他、山ほど面白い研究があります。

 結局、上記の研究を広げるには、その前提となるものが広がらなければならないのです。

[]新年会 07:40 新年会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 新年会 - 西川純のメモ 新年会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日のゼミの新年会・学部2年生歓迎会には地元の『学び合い』実践者の方も参加していただきました。また、ゼミ生(私では無いですよ)との顔つなぎのために教育同人社の方がお二人、東京から来られました。ゼミ生と飲み会をするために二人を400km遠方に出張させる凄い会社もあるんだなと思いました。あまりにもったいないと思ったので、私とのディスカッションの時間を設けようと思ったのですが、その方々とゼミ生との間で話し合いがあって(つまり私は蚊帳の外)、私との話し合いは飲み会の時にちょこちょこっとやれば良いのでは無いか、との結論が私以外の当事者の間で合意されたようです。あはははは。お二人はゼミ生のように輪の中に入っています。『学び合い』の仲間の飲み会はいつでもそうですね。だって、多様な人と折り合いを付けて自らの課題を解決すること、が重要であると思っている人なのですから。

 会は私の乾杯の音頭(30秒程度)で始まり、あとはゴチャゴチャです。私の目の前にいた新ゼミ生の学部2年の子に「ビックリした?」と聞いたら頷いていました。彼曰く、自己紹介をしなければならないかと思って用意していたようなのですが、まったくスルーしたので拍子抜けしたのです。

 かなり以前に我々が明らかにしたことです。子ども達に自由にすると話のジャンルによって集団のサイズが変わります。会話は二人が基本です。当たり前ですよね。でも、多くの授業は一人の子どもが全体の前で話させて、それが会話の練習だと思っているようですが・・・・・。

 何かをつくる、決めるというのは4人ぐらいの集団がつくられます。社会科で『学び合い』を始めた当初は、集まれば良いんだということで8人以上の子どもが机を並べて勉強することがあります。社会科での『学び合い』では、最初は言葉の確認という作業をします。8人以上の集団ではその確認が非効率になります。結果として、ほっておくと4人ぐらいの集団に落ち着きます。

 そして、全体の合意を形成するというときにのみ、全員が集まって集団がつくられます。職員会議でも、細かいことを延々と話す先生っていますよね。そういうときってどう思います?「そんなこと、係で話し合って整理して会議に出せよ」と思うでしょ。あれです。

 一般の懇親会では、様々な仕掛けがなされています。挨拶、乾杯、締めの挨拶。自己紹介、ゲーム、席替えタイム等々があります。それらは、よりよい懇親会をするためにある仕掛けです。しかし、必ずしもうまく機能していない場合があります。

 延々と続く挨拶は、会話の時間を奪います。それは自己紹介やゲームもそうです。ちょうど話が盛り上がってきたときに、席替えタイムがある場合があります。何故でしょう?それは、一人一人のその時のニーズが異なっているのに、一律の良い方法を課すからです。それは『学び合い』的な発想では無い。

 『学び合い』的に考えれば、方法を強いるのでは無く、目的を共有することです。懇親会の目的は多様な人と折り合いを付けて自らの課題を解決することです。その意味を共有したならば、方法は邪魔です。一人一人が判断します。その状態がゴチャゴチャという状態です。

 水の分子はランダムに動いており、無数の水分子の一つ一つの動きを予想し、コントロールすることは不可能です。しかし、それをコントロールしようとして凍らすという方法をとることも出来るでしょう。しかし、一件ランダムな動きに見えたとしても水分子は熱力学の法則に従っています。一定の場を与えれば、自ずとコントロールできます。容器を与えれば、液体も気体もその形になります。重力や電場を与えれば液体も気体もそれにそった動きをします。

 懇親会における、その容器、その場は、「多様な人と折り合いを付けて自らの課題を解決すること」というそもそもの目的です。あとは一人一人が集団力学の法則に従って動きます。