■ [大事なこと]何を目指しているか
繰り返し書きます。
「授業がつまらない」と子どもから言われたら、どうしますか?
「授業が分からない」と子どもから言われたら、どうしますか?
力量のある教師ならば、多くの子どもに対して、それに対応できるでしょう。力量のある教師だったら、全員が楽しく、全員が分かったつもりになれる授業は出来ます。でも、全員が楽しく、全員が分かる授業は無理です。でも、それで自分を納得できるでしょう。
しかし、「先生、家に帰りたくない。学校にいたい」と子どもに言われたら、どうしますか?家には、あなたが本当に守るべき家族がいるのです。
あなたが出来るのは授業の時間だけなのです。その授業の時間で、「先生、家に帰りたくない。学校にいたい」という子どもを救わなければなりません。そして、来年も、再来年も、そして、あなたが死んだ後も救わねばなりません。難しいことです。でも、それが出来たら、教師は本当の聖職だと思います。
残念ながら、苦行僧のように苦労することを教師に社会は求めています。結果は出せなくとも、苦労していれば、それでいいのです。でも、現実に苦しんでいる子どもはいるのです。苦行していることに満足してはいけません。子どもを救わねばなりません。
不遜な物言いです。私の知る限り、上記に対して『学び合い』以外に回答を与えたものを知りません。授業を通して、教え子全員を幸せにして、幸せな一生を実現できると言えるには。『学び合い』は教室の人間関係を向上できます。『学び合い』は成績を上げることは出来ます。でも、私が願い、追い立てられているのは、そんなことではありません。
子ども達を、教師を、みんなを、生涯にわたって幸せにしたい。
あ~、これが実現できるのは宗教だけだと思われている。だから、『学び合い』は新興宗教と思われている。しかし、『学び合い』は徹頭徹尾、学問なのです。
■ [大事なこと]日本を変える
新たに入った若いゼミ生は、「私が日本を変える」と言っても、単なるレトリックだと思うかも知れません。そこで、今まで『学び合い』が全国に広がった流れをざっと説明しました。それは、『学び合い』が本物だと分かった個人が動いた結果です。中にはごく普通の学生、若い教師の一言で変わったことを説明しました。そして、たとえ話をしました。
もし、「スーパーで売っている椎茸を小さく刻んで、土に埋め、お酢を振りかけると4週間後に松茸が出る」という馬鹿馬鹿しいことが事実だったとします。たいていの人は信じません。でも、もしかしたらと思う人も必ずいます。その人が試してみたら本当に松茸が出たとします。そうしたら、その人も「スーパーで売っている椎茸を小さく刻んで、土に埋め、お酢を振りかけると4週間後に松茸が出る」と周りの人に言うでしょう。徐々に広がり、ある時点でパンデミックになります。
我々が日本を変えるのは、我々が持っているメッセージ、つまり「一人も見捨てないということは自分にとって得」ということ、そしてそれを実現する授業は簡単に短期間に実現できるということは、荒唐無稽なようですが、それが事実だったら魅力的です。
だから地方大学の一つの研究室であっても、一人も見捨てられない教育、社会を実現するために大きな貢献が出来るのだと説明しました。
ま、実際にゼミに入り、子どもや教師の変容を見続けると、信じることが出来ます。後に残るのは、それをどのように、したたかに実践できるか、です。