■ [大事なこと]大学院
昨日の続きです。
大学、大学院に入ったことが無いと分からないことはあります。普通の高校生が大学を選択するとしたら、どうやって選択するでしょうか?おそらく、自分が文系か理系かを決めます。それも何をやりたいというものでは無く、数学や物理が得意か不得意かで決めています。(これは非常に残念に思います。高校までの数学・物理と大学で学ぶ数学・物理は似て非なるもの、いや、全然違うものです。欧米では文系の人が、のちに数学・物理で名をなしたひとも少なくないです)そして、自分の得意科目を元に学部を決めます。
次にひもとくのは、旺文社等で出されている偏差値一覧表です。その学部の中で自分の偏差値に対応する大学を見いだし、本命、滑り止めを決めます。その結果を「赤本」によって合理化します。
ま、ほぼ全員の受験生がこのようなことをやっているならば、それなりの妥当性が生まれます。というのは、偏差値というのはその時点での問題解決能力の指標としては優れていると私は思っています。少なくとも、それを超える指標を私は知りません。したがって、大学はともかくも、自分に対応した問題解決能力のある同級生に出会える可能性が高いからです。
しかし、大学院また学部も理学部などの専門性が高い学部は、そうではありません。その大学の名前で敬意を払われることは無くなります。どの研究室に所属し、だれに指導を受けたかがポイントとなります。なぜなら、そのようなレベルになれば研究室ごとに学べること、学べる環境が天と地ほどに違うからです。
大学の学部の場合は、どの大学も大学設置基準第32条に基づいた124単位以上を基本とした卒業単位数を設けています。この単位を取得するには二十人から四十人程度の大学人がほぼ同じだけの単位数を担当して教えます。これぐらい多くの人が関わると、大数の法則でほぼ似たような教育を受けることになります。
ところが大学院の修了単位は数十単位に過ぎません。しかし、その数倍の時間数を研究室の時間に費やします。それ故、大学院では大学に所属すると言うより、研究室に所属するという方が正しいのです。
予算面も違います。学部だったらどの研究室に所属しても、受けられる授業には差がありません。しかし、大学院の場合、その多くを占める研究室活動は研究室によって違うのです。例えば予算面でも天と地ほどの差があります。理学部に所属すれば、年間数十万円の予算でやっている研究室がある一方、数千万、数億の予算でやっている研究室があります。これでは勝負になるわけありません。
上越教育大学は学部では無く大学院を基本とした大学です。そのため本学教員は平均的な教員養成系大学の教員の研究費の2~4倍の研究費を得ています。そして上越教育大学内でも、研究室ごとの予算には天と地ほどの差があります。ちなみに私は平均的な教員養成系大学の教員の研究費との10~50倍の予算を獲得しています。
そして大学院は専門性が高いので、どの研究室で学べるかは全然違います。
最近、大学院入試があり、面接をしました。県庁所在地にも無い大学の教職大学院を受験している人です、「なんとなく」受験する人は殆どいません。しかし、研究室レベルのことをリサーチする人は殆どいません。私の担当した人で、我々教員の書いた本や論文を読んだと言うことをハッキリ喋った人は一人だけでした。情報発信の不足を考えました。