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2013-09-18

[]全体の前で 21:32 全体の前で - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 全体の前で - 西川純のメモ 全体の前で - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』を理解してからは、理論的に理解できたのですが、一般の人には真逆なことを私は自分に課しています。それは「反対意見が起こるであろうことは全体で求める」ということです。

 ある集団にあることを求めるとします。当然、反対意見が出るでしょう。そうなると、自分の意見に賛同する人に個別に会って、こんこんと説明し、その人から説明させるということを多くの多くの先生はします。つまり、クラス委員に言わせるのです。これって、校長が教頭や主任を校長室に呼んで、その人から説明することを求めることと同じです。

 私はそれはしません。

 ただ、私が集団の状況から見て無茶苦茶なことを言っている場合もあります。だから、あくまで雑談として、「こういうことは大事だと思うけど」ということを集団のメンバーの何人かに相談することはあります。でも、私の判断は、私がします。私は、集団(個々人)がやりたいと思うか否か、ではなく、集団がやるべきか否かなのです。もちろん、その決定が誰一人の利害に反することでは無いことを確信できるか否かです。そのための情報収集です。

 その情報収集の中で、まず集団の利害に一致するかを判断します。次に、そのことが個々人の利害に一致するよう、個々人の関わり方に関して、個々人が加減できる余地があることを確認します。それが出来たならば、個々人の反対意見に対して、踏ん張れる自信がわきます。

 その上で全体を集めて、説明します。私は集団を超えて、日本の教師や子どもたちのためになることを語ります。そして、それが集団内部の利害と一致することを語ります。ただし、個々人レベルでは関わり方に関して集団に任せます。もちろん、個々人の利害に一致する「おりあい」が大事であることは前提です。

 こうすると反対意見は殆ど出ません。だって、集団の利害に一致してるのですから、集団は反対しません。私が注意すべきは、「一人も見捨てず」という一点です。それが自分の理解にも、集団の利害にも一致することを繰り返し語ることです。

 と分かっている私にとっては、「自分の意見に賛同する人に個別に会って、こんこんと説明し、その人から説明させるということを多くの多くの先生はします。つまり、クラス委員に言わせるのです。これって、校長が教頭や主任を校長室に呼んで、その人から説明することを求めること」は効率の悪いことだな~っと思います。

[]平均点 07:14 平均点 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 平均点 - 西川純のメモ 平均点 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 もし分布が正規分布であるならば、平均値は中央値であり、最頻値です。だから、その集団の様相を最も端的に表す数値になります。でも、それは分布が正規分布だった場合です。

 一斉指導において子どもたちの成績を上げる最も簡単な方法は、成績が中の下の子どもに合わせたドリル学習をテスト前に集中することです。国語の場合だと、漢字の書き取りと基礎的文法のドリルです。「深い読み」なんて短期間に向上できません。しかし、単純なドリル学習で向上できる部分があります。そこをやるのです。

 成績上位の子は伸びしろがありません。成績下位の子はやる気が元々無いので、一斉指導で対応できません。そのため、限られた労力で効果が大きいのは中の下の子どもです。このような方法をやれば、中の下の子どもは点数が上がり、中の上の子も上がります。その子たちが成績上位にシフトします。しかし、成績下位の子どもは影響がありません。その結果、点数分布が横に広がり、ひどい場合はフタコブラクダになるのです。そうなると、もう平均点は集団を表す指標にはなり得ません。

 現在、全国学力テストでは平均点ばかりが議論されています。しかし、その分布を議論すべきだと思います。各学校、各クラスの分布を見れば、そのクラスの教育の健全性が見て取れます。もっとも端的に表せる指標は分散です。私は分散に注目すべきだと思うのです。

 でも、『学び合い』的に言えば、分散さえも不十分です。最低限学ぶべき学習内容に対応した点数を設け、その点数以下の子が何パーセントであるかを議論すべきだと思うのです。もし、全国学力テストがそのような数値で評価されたならば、学校の教育は激変せざるを得ません。