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2013-09-21

[]見える 21:15 見える - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 見える - 西川純のメモ 見える - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ゼミの3年生は現在教育実習中です。ウイークデーは忙しいので、本日、ゼミをしました。彼らが一様に言うのは、従来型授業で授業をすると見捨ててしまう子どもが何人もいると言うことです。彼らなりに工夫をするのですが、どうしても駄目であることを語ります。

 私は、ゼミ生が出来ないのはゼミ生が能力不足や経験不足のためではなく、従来型授業ではそもそも無理であることを語りました。そして、分かったつもりにさせるテクニックや、楽しくさせるテクニックを伝授しました。でも、全員がわかることは無理です。

 ゼミの最後に、他コースの同級生にそのことを話し合ってみることを勧めました。話し合えば、ゼミ生のような悩みを持たず、自分はみんなを教えられていると思っていると思うよと語りました。ゼミ生は、最初、「え?」という顔をしましたが、直ぐに「あ~・・・」と納得したようです。

 同じ子どもを見ても、見える人もいれば、見えない人もいます。それは教師経験を数十年であっても見えない人は見えません。子どもたちは「分かったよ」という仮面がかぶって授業を受けます。そして、「分かって欲しい」と願って教師は授業をします。人は、信じたい嘘には騙されます。結果として、だいたいの子どもは程度の差はあるけど自分の授業を分かってくれていると思い込みます。ま、そう見えない子は数人いますが、それはその子の問題であって自分の問題では無いと合理化します。

 頼もしくもあり、可哀想でもあります。知恵の実を食べたアダムとイブは、無知の楽園には住めなくなってしまったのです。

[]越後『学び合い』の会 20:33 越後『学び合い』の会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 越後『学び合い』の会 - 西川純のメモ 越後『学び合い』の会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 11月15日、16日に上越で越後『学び合い』の会を開きます。大々的に宣伝します。売りは、『学び合い』の子どもや先生方、校長先生といっぱい話せることです。黙って聞いている会とは違います。

 面白いです!http://p.tl/v3-d http://p.tl/uSyE

[]岡山の会 09:10 岡山の会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 岡山の会 - 西川純のメモ 岡山の会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 11月2日に岡山の会があります。私も行きます。http://p.tl/GnWK

[]民間 06:17 民間 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 民間 - 西川純のメモ 民間 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 大阪市で採用された民間校長の11名中6名が不祥事を起こしたと報じられています。少数事例ですが、統計学上、明らかに有意な結果です。では何故こんなことが起こったのでしょう。

 民間校長を各自治体で採用する理由は、「民間の優れた経営感覚を学校に取り入れよう」というものです。そしてそれに反対する論は、「学校には営利が無く、民間と別種だ」という論が多いように思います。

 しかし、ドラッカーは非営利団体の経営は、民間企業の経営に比べて遙かに難しいと看破しています。どこが違うかと言えば、民間企業の利害関係者(ステークホルダー)の構造は簡単で、まあアメリカだったら株主が主だし、日本の場合はそれに社員が関わる程度のものです。そして、その利害は企業が儲かるという営利と言うことで一致しています。だから、 営利を上げればみんなハッピーになってくれるのです。

 ところが学校は違います。教育委員会や教員ばかりでは無く、子どもや保護者が利害関係者です。そして子どもや保護者の利害は一人一人違います。されに、地域社会の利害関係者です。さらに、よく働いたからといって教員の給料を上げるということはありません。一人一人の教員の利害は異なっているのです。そして、民間と違い、基本的に公立学校において「解雇」がないのです。民間だったらとうに解雇する職員と、折り合いをつけてつきあうという経験は、その民間出身者にはなかったのだろうと思います。

 民間校長がパワハラで訴えられましたが、その人が校長になったとたんに人が変わったわけではありません。その人は民間で普通に行われている程度のことを、普通にやってしまっただけです。おそらく、当人は「え?何故?」と思っているはずです。

 優れた学校経営を出来る校長は、民間企業の経営者を楽々に超える能力があります。もちろん、能力の無い校長はいるものです。しかし、行政の力でなんとか目立たないようにしていますし、2、3年で異動するので壊滅的な状態になっていない。

 高校生には小学生並みの学力が無い子もいます。それだからといって、中学生を高等学校に入学させれば当然問題を起こします。高校生を高校生並みの学力を獲得させるべきなのです。

 残念ながら学校経営に経営学の知見は生かされていないと思います。教頭試験では教育法規が出され、校長試験では願いが問われています。つまり、学校経営とは「教育法規+願い」のような現状と思います。せめて民間企業「程度」の経営学を必修にすべきだと思います。たとえばMBA程度のカリキュラムは必要だと思います。おそらく採用された民間校長はその程度も学んでいないはずです。MBAのカリキュラムにはコンプライアンスや労務管理は必修ですから。

追伸 もちろん優れた企業経営者は、優れた校長と同じように経営能力はあります。ただ、民間出身者だから、当然ある、というようなことは無いということです。