■ [大事なこと]老い
54歳になると二十代には分からない老いの気持ちが分かります。まずは、若いときのようなうまくいくかいかないかを度外視して、とにかくやってみるということが出来なくなります。理由は、うまくいくか、いかないかの予想が立つようになるからです。
次に、大変なことを避けたくなります。大変なことを避けたいのは若い頃から同じですが、年がたつと若い頃より大変なことをしなければならなくなります。あわてて補足すると、若い頃も大変です。ただ、年を得ると、自分以外の大変なことが多くなります。大変な仕事が多様になります。若い頃は「自分」のことが大変なので、大変さが単純です。
次に、「これから何もしなくても生き残れそう」ということを感じてきます。こうなるともっとしたくなくなります。でも、繋がっている人に申し訳ない。ということで、繋がりを絶ちたくなります。仕事で一人で生きる分にはそれで十分です。そうなると、自分がするのは、自分に仕事が回ってくることを避けることだけ。
でも、そうなった年長者がどう見えるかも知っています。
次に、それが分かってもいても、それでもいいかも、と思う段階が来るのかもしれません。無様な老後です。でも、鈍感になりさえすれば、それはそれで幸せなのかもしれません。
『学び合い』を通じて、日本中に多くの尊敬すべき年長者に出会います。「これから何もしなくても生き残れそう」ということを知りつつ、踏ん張り続ける人がいます。尊敬に値します。
追伸 三十代で「これから何もしなくても生き残れそう」の段階に達している人を少なからず知っています。生き残れそうと思うのが分からないし、生き残れたとしても、これから三十年、誇りのない人生を過ごすのは辛いな、と思います。私はあと十年だから。54歳の私には貯金がある、それとは違います。