■ [大事なこと]色々な学力
本日、色々な学力があることを学生に説明したのですが、私の説明より院生さんの説明の事例が分かりやすかったです。それも使いながら、説明します。
『学び合い』をちゃんとやれば、日頃の学習の成績は上がります。でも、だからといってNRTや全国学力テストの成績が上がるとは限りません(ま、上がる場合が多いですが)。そのことを取り上げて、「『学び合い』は学力を上げると言うけど、違うじゃ無いか」という方がいます。困ったな~っと思います。
その方は学力という普遍的なものがあると思い込んでいるために起こる誤解です。
わかりやすい例で説明しましょう。
サッカーの練習をすれば、サッカーの競技能力は高まるし、試合をすれば勝てるでしょう。でも、だからといって野球が上手くなるわけではありません。ところが、サッカー部員に野球をやらせたら下手だったら、「サッカーは運動能力向上には役に立たないですね」と言う人をどう思いますか?
もちろん、サッカーをしっかりやれば持久力等の基礎体力はつくでしょう。でも、野球のテクニックを知らなければ、その基礎体力を活かせる前に負けてしまうのです。
日頃のテストに現れる点数と、NRTの点数と、全国学力テストの点数は違います。もちろん重なる部分は大きいですが、それぞれの特徴を知らなければ、その重なる部分を活かせないのです。
だから、私が「学力」を上げたいという校長に、上記のことを最初に言います。そして、どの学力を上げたいのかを聞きます。もし、NRTや全国学力テストの点数を上げたいと希望される場合は、3つのことをお願いします。
第一に、教職員がその点数を上げたいと願うようにして下さい。教師が願わなければ、子どもは上げようとしません。
第二に、教職員がその点数を上げたいと子どもに求めて下さい。教師がハッキリと言わなければ、全ての子どもが上げようとしません。
第三に、それぞれに合った問題表現・癖を意識した課題を、日頃の課題の中に混ぜて下さい。日頃のテストに現れる点数と、NRTの点数と、全国学力テストは本質では同じことを聞いているのですが、問い方が違うだけです。なれさせれば良いだけのことです。
この3つです。これをちゃんとやれば、結果を出せます。というより、出しました。だいたい1教科あたり10~20も上げました(ビックリするでしょ?)。
困るのは、日頃の学力を上げたい、いや、学力よりは人間関係作りを重視したい、と最初に言ったのにも関わらず、NRTや全国学力テストの結果が出ると「『学び合い』は学力を上げると言うけど、違うじゃ無いか」と言う方がいます。これには困ってしまいます。
なお、言うまでも無いことですが、私は「日頃のテストに現れる点数と、NRTの点数と、全国学力テスト」のいずれも、どうでも良いことだと思っています。求められれば応えるだけのことです。私が大事にしていることは、子どもの生涯にわたる幸せを保証する仲間を一人の例外も無く与えることです。そのために、「多様な人と折り合いをつけて自らの課題を解決する」能力を学ばせることです。それを学ばせる場が「日頃のテストに現れる点数と、NRTの点数と、全国学力テスト」のどれだっていいのです。