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2014-01-15

[]理想の学校 05:58 理想の学校 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 理想の学校 - 西川純のメモ 理想の学校 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ゼミ生に「西川先生の考える理想の学校とはどんな学校ですか?」と聞かれると、「例えば小学校だったら、入学式に校長先生が「6年後に、全員が立派な中学生になること。さあ、どうぞ」だけの学校」と即答します。ゼミ生は呆れますが、私はマジです。

 ま、以前に書いたことですが、もうちょっと詳しく書きます。

 私の考える理想の学校のカリキュラムは基礎的内容、育児・介護、職業教育が3つの柱です。基礎的内容とは、現在の三十後半の成人にテストしたとき、その二十パーセント以上が覚えていることです。多くの人が気づいているように、学校で学ぶことの大多数は成人になってから役に立ちません。そこをカットするのです。おそらく、小学校レベルの学習内容だと思います。でも、もちろん将来理系の職業に就く人は解析学も必要でしょう。それは職業教育の選択科目で学ぶのです。

 今後の社会で人が獲得しなければならない能力は育児と介護だと思います。つまり、人と直接関わる部分です。おそらく家事の大多数は機械や有料サービスで代替わり出来る世の中が来るでしょう。でも、育児と介護は人がやるべきものだと思います。

 子どもたちは入学後に指導教諭を選びます。ま、部活みたいなものだと思ってください。各指導教諭は自身の指導理念や方法を事前に明らかにします。子どもたちは1ヶ月程度、色々な指導教諭に面談し、先輩と相談しながら、自分に合った指導教諭を選びます。そして、年度ごとに指導教諭を変えることも出来ますし、継続することも出来ます。それは子どもが決めることです。

 子どもたちは、指導教諭ごとに異学年のチームを作ります。そして、週のうち2日程度、育児・介護体験と職業体験をします。色々な問題があった場合、チームで相談し解決します。子どもたちは一人一人、自分が必要な学習をします。例えば、職場で微積分が必要だというならば、それを自習します。分からないことがあれば、先輩に教えて貰います。

 では、指導教諭の仕事は何でしょうか?一人一人の個人指導の時間が週に1時間程度あります。ただし、個人指導は1対1では基本的にはやりません。何故なら、そうすれば教師に甘えるからです。だから5、6人程度の子どもが集まって各自の問題を指導教諭に相談します。それに対して指導教諭がアドバイスをするのです。そうすれば、それぞれがどのようなアドバイスを受けたか、他のメンバーが知ることが出来ます。そうすれば、フォローも出来るのです。

 そのような活動の成果は、年度ごとに評価されるのです。上記のようなものですので、時間割もありません。チャイムもありません。各人が各人のペースト指向性で決めます。強いて言えば、指導教諭の方針がカリキュラムであり、時間割であり、チャイムです。

 それ以外の時間、指導教諭は何をしているでしょうか?対外的な折衝です。子どもたちを任せられる職場を探し、その職場責任者と調整するのです。これは誰かに丸投げするのでは無く、指導教諭の仕事です。

 学校は地域コミュニティの核の役割をします。地域コミュニティのコーディネーターの仕事をします。そして、地域の人をどんどん学校に取り込むのです。学校の中には、老人ホームや介護施設や町内会館が混在し、それらの人がうろうろしています。

 また、予算を獲得することです。子どもたちがやりたいことをやらせるために、学校外から予算を獲得します。

 これが私の考える理想の学校です。荒唐無稽と思うでしょ。でも、上越教育大学の教職大学院はそのようなことを実現できるカリキュラムを保証しています。そして、西川ゼミはそれを徹底しています。おそらく、上記のうち「育児・介護」以外は全てやっています。

 ということを頭に描きながら、「三人の武将の課題はどうしたら良いのですか?」という質問に応え、それが分かるような本を書いています。私の頭の中と現実との乖離が激しい。『学び合い』はもの凄いスピードで広がり、理解する人が増えています。しかし、それ以上のスピードで私の妄想は広がるのです。とほほ