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2014-04-20

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 今年は富山で免許更新講習を担当いたします。8月19日です。よろしければおいで下さい。http://p.tl/gLsg

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 昨日の私のメモに対して、同志が以下のコメントを書き込んでもらいました。とても心に響きました。

『ベテランに近い中堅の先生が若手の先生に「できない子にあまり関わっていると他の子をほっとくことにかるから,ほどほどにしなさい。それは見捨てるということではなく,別の時間(休み時間など)で対応してあげればいいから」と言った助言をしているのを耳にしました。「じゃぁ,その子はその時間は分からないままがまんしてとってことかい」とむっとしましたが,多くの先生がそれが多くの子にとっての善意と考えているのだなと思い,その先生を責めることを我慢しました。しかし本当に切ない。『』で成果を出すことが自分にできることなのかなと思います。頑張らないけどできることをやりたいと思います。』

 『学び合い』をはじめて二十年弱です。頭は『学び合い』脳になってしまいました。その結果、一般の先生の考えを忘れてしまっている。でも、コメントを読んで、「あ~、昔は自分もそう考えていたよな」と思い出しました。そうやって合理化していたよな。そして結局別の時間に「そこそこ」対応して合理化していた。

 子ども時代のあるとき、「自分は死ぬ」ということに気づきます。そして、もの凄く悩みます。やがてそれを受け入れます。そうでないと気が変になるから。「一人も見捨てない」も同様に諦めます。そして、合理化する理屈を考え、身を守ります。

 一人も見捨てない、を徹底的に願っている特別支援の先生方も例外ではありません。今の特別支援教育は医療に近い。医療では、患者の幸せを考えず、目前の治療に専念します。極端な話、延命が患者に苦痛の延長であったとしても、それは考えず治療に専念します。同じように、特別支援教育も目前の障害の軽減に集中します。そもそも、その障害の軽減がその子の生涯の幸せに繋がるかをあまり考えません。お叱りを覚悟で書きます。特別支援の先生方に、「今、教えていることが三十年後のその子どもの幸せにどう関わるのかを具体的に説明してください」と聞いたとき、全ての場面で言える方は殆どいないと思います。医者と同じように、目の前の障害の軽減に目が向いているからです。

 特別支援の先生ですらそうであるならば、数十人の子どもを担当する先生はもっとそうなります。視野は1年もしくは3年先が限界で、その中で自分のやれる目前のことを全うすることに集中します。そして、子どもの幸せは自分の担当では無いと考えます。しかたがありません、死が逃れられないように、子どもの幸せを自分が実現出来ることが不可能だと思っているのだから。しかし、教師が不可能だと思えば、クラスの子どもの1割は地獄の時間を過ごすことになる。大村はま、斎藤喜博のクラスですら例外ではありません。

 そして教師も多くのものを失ってしまっている。同志の方だったらお分かりだと思います。

 日本の教師の中で、教科学習の時間に、子どもの素晴らしさ、凄さに感激し、涙を流した教師がどれほどいるでしょうか?卒業式や部活では無く、教科学習の時間にです。そして、教科学習の時間に、自分は目の前にいる「全て」の子どもの一生涯の幸せに資するものを与えていると確信出来る教師がどれほどいるでしょうか?現実に毎日やっているのは、漢字の書き取り、基礎的文法、2桁の足し算、オームの法則、逆上がりに過ぎません。

 だから、心ある教師は部活や生徒指導に教師の誇りを得ようとしています。また、教科指導に関しては教師の職能を高めることによって教師の誇りを得ようとしています。でも、いずれも「一部」の子どもを自動的に除外しているのです。そのため、自分の素晴らしさや凄さに感激出来たとしても、子どもたちの素晴らしさや凄さに感激することは出来ない。

 そして1割の子どもは地獄の中で日々を過ごし、7割の子どもは自分がそうならないかビクビクして、2割の子どもは8割の子どもを見捨てることを学ぶ。その2割の子どもも、一度、自分が見捨てられるような状況になると弱いものです。学校教育のシステムにフィットして、それ故に大学に進学し、教師になった我々の200人に一人は心の病で休職しているのです。だれも悪気が無いのに、そうなっている。

 教師の職能は相手あっての職能です。そして、その職能とは全ての子どもなのです。

 今できることを、追い立てられるようにやっています。だから12日で4冊の本を書き上げ、1ヶ月かけて推敲しています。何故かと言えば、上記のように現状認識しているからです。つくづく、私はバカだな~と思います。