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2014-09-06

[]ご注意を 07:13 ご注意を - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ご注意を - 西川純のメモ ご注意を - 西川純のメモ のブックマークコメント

 火曜日に大学に行ったら、私が仕事でメインに使っているコンピューターがダウンしているのです。困りました。原因を調べたらレイドをかけているCドライブの一つのHDが壊れてしまっていたのです。とりあえずレイドを解除してみました。ところが変なのです。調べてみると、ウインドウズのアップデートが1年近く失敗していたことが分かりました。ウインドウズ8から8.1にアップデートできなかったので変だなと思っていましたが、おそらくそれが原因だと思います。そこでアップデートをしようとしたのですが、あまりに多すぎて不具合が起こりました。後で分かったのですがアップデートする順番があるのです。そこでリフレッシュをしたりなんだかんだで、やっと昨日、8.1にアップデートしCドライブのHDを交換しレイドを再構築しました。

 ということで、火曜日から金曜日はブログやFBを更新できませんでした。

 これをお読みの方々へ。ウインドウズのアップデートが上手くいっているかを確認して下さい。復元ポイントが形成されているかを確認して下さい。そして、リカバリーディスクは必ずつくりましょう。私がこれだけすったもんだした原因は、上記を三つともやっていなかったからです。他山の石です。

 なお、メインの情報はクラウド保存していたので、大丈夫でした。

[]成功/失敗 07:13 成功/失敗 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 成功/失敗 - 西川純のメモ 成功/失敗 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日のゼミでゼミ生に語ったことです。

 ゼミ生は『学び合い』の生に触れています。そこでは様々な場面に出くわします。そこで、「これこれのことがありました。これを避けるためには、これこれした方がいいと思うのですがどうでしょうか?」という内容です。『学び合い』の初心者だったら、「それでいいと思います。よく思いついたね」と褒めるところです。しかし、我がゼミ生です。その上を言って欲しいので別なことを言いました。

 ゼミ生の語る言葉を聞いていました。最初の20秒ぐらいで、どんな方向性のことを言うであろうことは分かります。でも、黙って聞いていました。そして

 「それって、その日の授業が成功するための手立てだよね。」と聞くとゼミ生は頷きます。「たしかにその様にすればその日の授業は成功するよ。具体的には皆がニコニコになって全員達成するだろう。でもね、『学び合い』はその日のことではなく、中長期を見据えて子どもにとって何が大事かを考える教育なんだよ。授業の中では様々なことが起こる。それに対する手立てを考えていたらきりが無い、そして、多くは対応しきれない。そして、大人になれば手立てをしてくれる教師はいない。そんな中で生きなければならないんだよ。だから、『学び合い』は子どもが出会うであろう様々な困難を乗り越えられる能力を育てているんだよ。だから、『学び合い』ではわざと失敗しやすい環境に子どもをおき、教師の目の前で失敗させるんだよ。そして、それを乗り越えるべきことを語る。だから失敗することは避けるべきことでは無く、「美味しい」と思うぐらいじゃなければね。

 例えば、教材を改良すれば成功するかもしれない。しかしそれでは、いつまでたっても改良した良い教材でしか学べない子どものままだよ。発問やツールを考えれば、今まで関係を持てなかった子ども同士が関わる可能性が高まる。しかしそれでは、いつまでたっても教師のいない状態では関係を持てない子どものままだよ。

 じゃあどうするのか?それは「一人も見捨てない」だよ。色々な障害があったとしても、それを乗り越えるべきことを集団の2割に確信させる。そして、その2割の子どもの行動が望ましいであろうことを、2割の子どもが6割の子どもに納得させる。そして、それらの8割の子どもが、残りの2割を動かす。「一人も見捨てない」こそが『学び合い』の根幹であり、全てのテクニックの源泉なんだよ。

 ただし、これは『学び合い』の学校観と子ども観が本当に分かっていないと分からない。学校観が分かっていないと、その日その日の出来不出来で一喜一憂してしまう。子ども観が分かっていないと、自分が思いつく程度のことは子ども集団が考え出せるとは考えられない。その日の問題を、失敗と考えられるか、中長期の子ども成長の糧と考えられるか、違いがあるね。」

 と語りました。

 クラスで問題が起これば、教師が対応策を考え、それを実施する、というのが従来の授業です。そして、多様な対応策を考えられる、ストックがあるのが教師の職能であると考えています。だから、『学び合い』を実践しても同じように考えてしまうのは当然です。だから私もその種のテクニックを開発し、本で紹介しています。しかし、それは最低限に抑えています。そして、失敗が起こった時にどのように「一人も見捨てない」を語るべきかの例示を多めにしています。

 上手い対応策を積み上げれば、問題は起こりません。しかし、教師の対応策が上手ければ上手いほど子どもは教師に依存的になり、愚かになります。そして問題を起こし、それに対応策を施します。そして失敗は無くなり、子どもは教師に依存的になり、愚かになります。この繰り返しを繰り返せば、見た目は『学び合い』風に見えるかもしれませんが、実態は学校観、子ども観に反する、上手い一斉指導になります。私はそれをテクニックの罠と呼んでいます。

 しかし、剣道を学ぶ時、「剣の道は心」と初心者に言っても分かるわけありません。初心者が学ぶ時、素振りのような基本動作やテクニックからしか入れません。しかし、その先があります。『学び合い』の説明に関して、初心者用の説明と、中級者用の説明と、上級者用の説明があります。しかし、これは何かを学ぶ時には皆同じですよね。だた私が本を書く際の悩みのタネは、『学び合い』の初心者用の説明を従来型の授業から見ても合理的であることは直ぐに書けます。ただ、そこで起こるであろう失敗をどのように修正するかという中級者用の説明は従来型と『学び合い』では違います。何故なら、子ども観の違いがあるからです。それをどのように書くかです。そして、荒唐無稽と思われてもいいから上級者用の説明も紛れ込ませたいという願いをどこまで押さえるかに苦労します。