■ [大事なこと]共感能力
私は東京で生まれました。でも、板橋区の外れです。近くには田園風景が広がり、見知った人だけで生活できました。しかし、電車にのれば都会です。色々な楽しいものがあります。が、都心の生活感が大嫌いなのです。向こうから来る人、ビルの小さな光の向こうにいる人のこと、その人を思い浮かべるのが辛いのです。
特に辛いのは、電車に乗って合う私立学校の同年代の人です。公立学校の小中では味わっていない競争的な環境、自宅から遙か離れた学校に通学している同年代。その人たちがどんな気持ちでいるのかを想像すると過呼吸になりそうになります。
その点、今の勤務校は気楽です。関わる人は三十人ぐらいです。大学の廊下はまっすぐ歩いて人をよけることはありません。おそらく研究者として過ごす限りは、それで完結できると思います。ま、全国大会や理事会程度ぐらいでしょう。
が、私のネットワークは広がっています。色々な人の生活の香りを知れば、その裏の生活を想像します。喜びもあるでしょう。苦しさもあるでしょう。その人のことを考えるたびに、それが思い浮かぶのです。それがどんどん広がっています。
それがとても光栄なことを感じます。ただ、自分の能力がそれに追いつくだろうかと思います。大事なのは、次に引き継ぐことです。引き継げるほどに体制が整っていない。それは全て私の未熟さです。