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2015-03-05

[]足りないもの 21:15 足りないもの - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 足りないもの - 西川純のメモ 足りないもの - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日、古くからの同志が遠方から訪ねてきてくれました。積もる話も多く、楽しい時間でした。その中で、「『学び合い』に関して、今、足りないと思うことは何ですか?」と聞かれました。その種の質問を受けたことがないので、ドキリとしました。じっくり考えて出した応えは「ありません」です。

 今、日本中に実践者がいます。『学び合い』の方法論も確立され、書籍も完備されています(少なくとも入門段階)。周りの状況は『学び合い』を必要としている状況は明確です。

 もちろん、悩んでいる同志もいます。しかし、その悩みは結局、同じ職場に同志がいない、それに尽きます。同じ職場に同志が二人いた場合は問題にならない悩みです。ようは量的拡大で解決します。そして、その準備は整っています。

 では、私は何を待っているか。それは民衆の蜂起です。たいして役に立っていない授業に対してNOを突きつけることです。それはインターネット上のコンテンツの蓄積によって発火点が決まります。

[]本気になっている 21:15 本気になっている - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 本気になっている - 西川純のメモ 本気になっている - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昔だったら、なあなあですんでいたことが、すまなくなってきています。

1) 修学旅行のお金が払えない場合、修学旅行に行けません。

2) 行き過ぎた保護者に対して、法的な処置をするようになります。

3) 集落が反対しても、一気に学校統合をするようなりました。

 今後は、分限を受ける教諭が増えていくでしょう。もちろん、心の病で休職する教諭は増え、それが分限に繋がるようになります。採用1年目で任用されないことも今後あり得るでしょう。

 実は、大学もそうです。

 教員養成系学部に対しては今までも何度も外圧がありました。ところがシンポジウムや報告書で誤魔化せました。最近までは、組織の名前を変えればOKでした。ところが今は違います。今まではよくやったところにプラスアルファの予算が付きました。今後はちゃんとやっていないところの予算が削減されるのです。ということは、今後は生首が飛ぶこともあり得るのです。が、大学人の多くはその変化を知りません。そして文科省から厳しい注文を受けている大学管理職を糾弾します。が、糾弾するのが可愛そうです。各大学の管理職は必死になって守っているのに・・・。それに文科省を糾弾しても意味がありません。

 結局、日本という国に余裕がなくなったのです。お金がないのです。

[]攻め方 21:15 攻め方 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 攻め方 - 西川純のメモ 攻め方 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私自身が特に興味があるのは、アクティブラーニングに対する要求レベルです。今を去ること十数年前に総合学習が導入されるとき、先生方は戦々恐々としていました。ところが蓋をあげれば、今まで通りでOKになりました。それが証拠に、総合学習の本が本屋に全く見られません。道徳の教科化でもおんなじです。書店に並ぶ道徳本はかつての総合学習とは比べものにならないほど少ない。そして実際に売れている本はもの凄く少ないのです。

 さて、アクティブラーニングですが、文科省の攻め方が今までとは違います。大学入試から攻めているのです。これって強力です。高校、中学、小学校に波及するまで時間がかかるようですが、一度広がり始めれば、強力です。上手いこと考えた、と思います。

[]アクティブラーニング 06:57 アクティブラーニング - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - アクティブラーニング - 西川純のメモ アクティブラーニング - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今後、時間がたつに従ってアクティブラーニングという言葉が世にあふれ、本のタイトルにも出るでしょう(私も出すかもしれません)。それを分類したいと思います。といいましても、実は既に書いた”学び合い”の分類と全く同じになるはずです。

 まず最初に、我こそはアクティブラーニングの原典であると主張する人はいます。そのためには古証文を出して、訓詁学的な解説をする人はいるでしょう。でも、文科省が言うアクティブラーニングはそれらの主張するものとは違います。過去の文章ではなく、文科省の今の文章が大事です。

 行政と接したことがある方だった分かると思います。行政は失敗が許されない、そして責任を取る権限を与えられていない。従って、特定のものを強く強いることをしません。たまに、特定の教育方法を強いる行政がありますが、あれは本来行政的にはアウトです。まあ、県レベル以上の行政では有り得ないでしょう。一見そのように見えた場合も、行政文書をちゃんとみればそのように求めていないことは明らかにです。単に、お馬鹿な担当者が、自分の意見と行政との違いを分からないだけです。

 文科省の言うアクティブラーニングとは、中央教育審議会「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ(答申)」(平成24年8月28日)の用語集にある「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」であり、それ以上でも無く、それ以下でもありません。

 行政文書で教育方法を例示する場合、色々な例示を行い、最後に「等」をつけます。つまり、どれか特定のものを決めていないのです。下級の行政がそれを取り違える可能性がありますが、このあたりをちゃんと理解して理論武装する必要があります。「学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」なのです。

 これは”学び合い”と同様に、4種類のアクティブラーニングが生まれます。おそらく、多くの場合は手段としてつかいます。答申が「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力」と書いていますが、まず現場ではそれを理解できません。そのため、汎用的能力ではなく、学力向上、それもNRT対策もしくは受験対策レベルでアクティブラーニングをとらえるでしょう。あれた学校の場合は、人間関係作りにアクティブラーニングを取り入れるでしょう。

 ごく一部が「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力」に応えるアクティブラーニングをするはずです。ただし、これまた二つに分かれます。多くは、子どもの能力を低く見積もり、教師の指導力を期待する今の枠組みの中でアクティブラーニングをします。これらに決定的に欠けているのは、子どもを大人にするという視点です。子どもが大人になったときには教師はそこにはいません。その教師がいない大人になったときアクティブラーニングを出来るような子どもを育てるには、子どもの力を大きく見積もる教育が必要です。それのみが中央教育審議会の答申が述べている「生涯学び続け、主体的に考える力を育成する」に応えられません。このアクティブラーニングに対応できるのは『学び合い』だけです。

 まとめましょう。

 第一に文科省の言うアクティブラーニングとは、中央教育審議会が述べているアクティブラーニングであり、それは「学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」なのです。

 第二に、アクティブラーニングは「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力」の育成を求めているのであって、NRT対策や人間関係作りのような特定の能力を育成しているものではありません。

 第三に、アクティブラーニングは「生涯学び続け、主体的に考える力を育成する」ことを求めています。学校を出れば教師はいません。教師が前面に出続けた教育はその様な力を育成できません。

 以上が理論武装の根幹です。

 勉強している行政担当者はそのあたりをよく勉強しています。というか、それがあたりまえです。だから、「学校が主体的になって頑張って下さい」レベルのことしか言いません。が、勉強していない行政担当者「も」います。その場合ですが、上記のことをもとに議論すると最悪感情的になると思います。ですので、「ご案内の通り、アクティブラーニングとは・・・・だから、このようなことも「も」可能ですよね」と柔らかく、下手に出るのです。何か言ったら、「どうやって汎用的能力を育成するのでしょうか?」、「社会出てから主体的に考える力を育成するにはどうするのでしょうか?」と疑問の形式でやわらかく攻めるのです。行政担当者は、法や行政文章には弱いものです。