■ [大事なこと]英語教師
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これからの時代、一番大変な教師はどの教科の先生かと言えば、「英語」です。何故かと言えば、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大 学入学者選抜の一体的改革について」において資格・検定試験を活用することが明記されているからです。もう少し踏み込んだことは、「英語教育の在り方に関する有識者会議英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する小委員会審議のまとめ」(平成26年7月)にあります。それによればTOEFLなどの点数を大学入試試験の点数に使うという案が出ています。しかし、このことは工程表である「高大接続改革実行プラン」には明記されていません。されていませんが、これは絶対にやると思います。特にスーパーグローバル大学以外の大学、つまり大多数の大学で使います。理由は新テストでは段階表示であり、一点刻みではありません。その部分は各大学がアドミッションポリーに従って独自に試験を作らなければなりません。ところが多くの大学にはそれが出来るだけのマンパワーはありません。だから、文部科学省のお墨付きの試験はのどから手が出るほど欲しいものです。
文科省は何故このようなことをするかと言えば、日本の英語教師の中で聞く、話す、読む、書くの4つを教えられる教師はそれほどいないと思っているからです。あ、怒らないで下さいね。あなたがそうだというのではありません。そして、現状の英語教師が考える「聞く、話す、読む、書く」と文科省の考える「聞く、話す、読む、書く」に大きな開きがあるからです。文科省の考える「聞く、話す、読む、書く」とは国際社会で活躍できる人材の「聞く、話す、読む、書く」なのです。従って、教える教師も国際社会で活躍できる「聞く、話す、読む、書く」の能力を持っていなければなりません。もっと具体的に言いましょう。いま県から、来月から半年間、アメリカで「英語教師」として勤めることを求められたとき、それが出来る教師が国際社会で活躍できる「聞く、話す、読む、書く」の能力を持った教師なのです。つまり、仮定法過去のような知識ばかりでは無く、他国の文化や習慣を熟知していることが必要なのです。そう考えるならば、それほど多くは無いことは自明だと思います。そもそも、英語教師はそのことを前提として養成されたわけでは無いのですから当然です。その意味で、今の英語教育より、TOEFLのほうが「まし」と考えたのだと思います。
さて、こうなると英語教師はTOEFL予備校の教師になるか、今とは全く違った英語教育、例えば異文化理解を中心にするかの選択を迫られます。残念ながら、安易なTOEFL予備校化する危険性は小さくないと危惧しています。
実は、他教科の教師も影響があります。今後、スーパーグローバルハイスクールが多くなれば、国語や数学や理科などの教員の採用試験において、TOEFLの点数が高いことが有利になる可能性があります。そして、大学も同じでしょう。英語で授業することが予算に響くような時代も来る可能性があります。
私は55歳です。55歳で良かったと、しみじみ思います。逃げ切れず、そのような養成を受けていない40代より若い教師は大変だと思います。
■ [大事なこと]二流国
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国がグローバル化を一気に進めている理由は、日本が二流国になると予想しているからだと思います。
もともとの母語ではなく、英語を中心とした教育をしている国は2種類です。一つは、翻訳が進んでおらず、母語では十分な情報を得られない国です。現在の発展途上国などがそれにあたります。また、自国の市場が十分ではなく、海外市場に依存せざるをえない小国です。シンガポールが代表でしょう。
残念ながら日本は人口が減少し、高齢化が進んでいます。その結果、日本の市場は縮小し、海外市場に依存せざるを得なくなりつつあります。そんな将来を見据えて国は強引にでも変えようとしていると思います。
私はその方向性は正しいと思います。しかし、もう一つの道があると思います。それは人口減少を止め、微増にすることです。そして年齢バランスのとれた社会に戻すのです。そのためには子育てをしやすい社会を作らなければなりません。二世帯、三世帯を中核とした地域コミュニティーを作らねばなりません。だれでもかれでも大学に進学するという価値観を無くし、早くから職業に就き、早くから家庭を持ち、早くから子育てをすることをよしとする社会が必要です。
『学び合い』ならば出来ます。
■ [大事なこと]焦っている
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中央教育審議会の答申、及び、それに基づく工程表でセンター入試は廃止すると明記されています。ところが、「センター入試は廃止されない。今まで通り」と断言している受験産業関係者がいるそうです。それを知った瞬間、大笑いしました。まさか受験産業関係者のあるレベル以上の人だったら文部行政における中央教育審議会の位置づけを知らないとは思えません。また、政府が工程表を出すと言うことの意味を知らないとは思えません。つまり、分かっていて嘘をついているのです。リーマンショックの直前に売り抜けようとしたディーラーみたいなものですね。
追伸 あまりにも無茶苦茶だったので、文部行政のシステム自体が変わったのでは無いかと思い確認しました。確認した人は、私と同じに大笑いしました。少しでも行政の仕組みを知っている人ならば思いもつかないことですから。
追伸2 もちろん、ちゃんと理解している組織があることを付け加えなければなりません。http://eic.obunsha.co.jp/viewpoint/201501viewpoint