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2015-05-15

[]科学 08:22 科学 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 科学 - 西川純のメモ 科学 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 佐々木さんの本の中で一番好きだった言葉は『仏教とは、プッダを神のようにあがめる宗教なのではなく、一人の人間としてのプッダが説き残した、その言葉を信頼する宗教であり、しかもその言葉を単に床の間に飾っておくのではなく、言葉の指示に従って自分自身で努力していかなくてはならない宗教だ、ということなのです。』という言葉です。

 これは自然科学に極めて似ています。そして教育学もそのようになるべきだと思います。佐々木さんの言葉を教育科学に置き換えるならば、『教育科学とは、教育には単純な理があると信じる宗教であり、しかもその理を単に床の間に飾っておくのではなく、理に従って教育実践に生かし、それを理に再帰さなければならない宗教』だと思います。

 私は意識的に科学者集団をモデルにして『学び合い』の組織を考えていました。しかし、堕落した科学者集団よりも原始仏教のサンガに近いと思います。

[]卒論 07:01 卒論 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 卒論 - 西川純のメモ 卒論 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 Aは何点、Bは何点という換算表によって学部学生さんの成績は点数化され、それによって順位が決まります。うちのゼミ生の順位を聞くと、全百七十人中、百六十あたりをうろついています。中には百五十あたりで胸を張っている学生に対して、「おまえ目くそ鼻くそを笑うという言葉を知っているか?」と言うと笑ってうなずきました。

 その後、以下のようなことを語りました。

 『大学の成績でオールAというのはバカの証拠だ。何故なら、大学で本気で勉強する講義は3つあればいい。それ以外はDでなければいい。でも、その講義を真剣に学べ。それにしてもオールAはバカだけど、百六十あたりはもっとバカだ。なんとかしろ。

 大学で学ぶべき大事なことは二つある。第一に、一生の伴侶となるような人を見付けろ。とても大事なことだ。もう一つは卒論だ。おまえらは小中高とずっと本当の問題解決を教えてもらっていない。卒論はその最初のことだ。卒論だって色々ある。先生の指定する本を読みまとめることが卒論の研究室もある。卒業間近になって調査問題をつくり、同級生や後輩ににそれを書いてもらってまとめる研究室もあるだろう。でも、我がゼミは違う。日本を変えるという馬鹿馬鹿しいと思えるものを達成しようとしている研究室だ。

 君らは二百万円以上の学費と、膨大な生活費と、4年間という時間を費やして大学に来ている。それに見合ったものを得たいならば、卒論で学べ。君らがどんな学びをしようが、しまいが、俺の人生には全く関係ない。しかし、君らがどんな学びをするかは君らの人生を決める。』

 私は大学で本気で勉強したのは「柳沢先生の遺伝学」、「黒川先生の集団遺伝学」、「関口先生の動物分類学」、「石坂先生の生物物理学」の4つです(3つよりも多かった)。その講義に関しては、かってに本を読み、教員の求める以上のことをしていました。そして、石坂先生の研究室に入りました。

 以下の人事担当者は正しいと思います。

http://blog.tinect.jp/?p=13443

[]真実 07:01 真実 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 真実 - 西川純のメモ 真実 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 卒論で指導していただいた石坂先生には多くを学ばせていただきました。私が教育学で研究する際の思考方法、研究姿勢は石坂先生によって学びました。ほぼ全てと思います。(大学院の小林先生からは大人としての生き方を学びました。)

 石坂先生から学んだことは多いですが、モデルという考え方はその後の研究に決定的な影響を与えています。

 簡単に言えば、「真実なんか分かるわけない」というものです。

 例えば、理科を学んだ人は「水素原子がある」と思っています。しかし、真実は分かりません。本当は「水素原子があると考えると、様々な現象を説明できるし、予測も出来る」ということです。

 生物は水素原子よりもっと複雑です。だから真実なんて分かるわけありません。そこで、研究者は様々なレベルでそれをモデル化します。(ただし、研究者でもじぶんのやっていることはモデルであることを理解せず、真実を追究していると思っている人は少なくないですが)石坂先生からは生物を大胆に単純化したモデルであっても、現象の大部分は説明できるし、予測も出来ることを学びました。

 人間は生物の中でも最も複雑な生物です。その生物の中でもっとも高度な精神活動である学習を、複数でやっている学校を対象としています。私は今でも生物学研究をしているつもりです。それも最も難解な生物学研究です。

 私は複雑な現象を複雑のままで扱い、のたうち回るのは嫌いです。ですので、現象を直ぐに単純化し、理解したいと願います。私の発する情報の大部分は、個々具体的な対処法です。でも、一番、心が躍るのはモデル化するところです。それが学校観と子ども観です。そして、そのモデルが多様な現象を説明し、予測できることがワクワクします。

 が、モデルに過ぎません。

 私は子どもたちの姿から『学び合い』のモデルを導きました。が、全く同じ姿から『学び合い』を全く否定するモデルを引き出せることを理解しています。

 では様々なモデルの中で何を選ぶべきか?それは価値観だと思います。何を求め、何を良しとしているかです。

 『学び合い』を否定する人の言説を読むと私に違和感を感じるのは以下の点です。

 第一に、子どもを十把一絡げにとらえている点です。子どもは一人一人違うし、一生懸命に生きている。それを感じられないのです。結果として、大多数の子どもが分かればいい、大多数の子どもが楽しければいいと考え、その甘さから、実態として大部分の子どもが分からず、大部分の子どもが楽しくない授業を容認してしまう。

 第二に、子どもを大人にするということ感じられない。さらに、子どもを幸せにしたいという願いが感じられない。そのため、自分が担当する1年間、いや、この時間の出来る出来ないしか意識の中には無い。最終的な目的、つまり、子どもが一生涯幸せな人生を送れるというものが無いので、毎日の授業がそれと繋がっているかいないかを意識していません。

 それを真正面に言えば喧嘩になるので、言わないようにします。しかし、言えば極論だと言われます。たしかに現状からは極論と思われても仕方がない。でも、私はそれを願っている、諦められない。つまり価値観の問題です。

[]幸せ 07:01 幸せ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 幸せ - 西川純のメモ 幸せ - 西川純のメモ のブックマークコメント

一人も見捨てないこと、そのために無理なく出来ることをすることは誰にとっても得(徳ではありません)ということが分かればみんな幸せになれる。だって、幸せは本当は身近にあるから。

 この絵に描かれていることは、我が家では毎日あります。ま、違いとしては息子が主要メンバーとして参加していることです。http://curazy.com/archives/80364

[]京都の会 05:27 京都の会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 京都の会 - 西川純のメモ 京都の会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 6月6日に『学び合い』京都の会が開かれます。お誘いします。http://kokucheese.com/event/index/296033/