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2015-06-05

[]教師 08:06 教師 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教師 - 西川純のメモ 教師 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 多くの人にとって理想の教師像は親をイメージしていると思います。徹底的に子どもに寄り添い、その子どもを愛し、守る、そんな教師を理想としていると思います。テレビドラマに出てくる教師はみなそうです。

 しかし、そんなことは物理的に無理です。どんなスーパーマン教師であっても1日24時間という限界はあります。数十人の子どもに寄り添い、その子どもを愛し、守る、そんなこと出来るわけありません。そこで私の本では仕事の上司をモデルにして説明します。上司であれば、数十人、数百人、数千人の部下を導くことが出来ます。

 でも、その先もあります。

 良き上司に恵まれたならば、良き社会人として生活できます。しかし、教え子がそのような上司を持てるとは限りません。自分の管下において幸せであるだけではなく、自分の管下から離れた時にも幸せであることを願うならば社会を変えなければなりません。もちろん政治家になれと言っているわけでも、革命家になれと言っているわけではありません。

 一人も見捨てない、このことを出来るだけ守り、それが守り切れないときでさえ建前でも掲げ続けることが自分にとって「得」だと理解する人を増やすのです。そして集団の力を信じ、多様な人と折り合いをつけることが最高の方法であることを理解する人を増やすのです。

私はゼミ生に細かいことを殆ど言いません。言ったとしても、それを無視する権利を与えています。西川ゼミの目標は「自分の心に響き、多くの人の心に響く教育研究を通して、自らを高め、一人も見捨てない教育・社会を実現する」しかし、それを無視する権利をゼミ生は持っています。しかし、私はそれを掲げ、自分の出来ることをみんなとやることが得であることを何度も語り、それを実感できる場を提供しています。

 これは小学校、中学校、高校でも同じです。おそらく、出来ないと思うでしょう。でも、出来る人と出来ない人を比べたとき、出来る人の方が教師として優れていると思います。なぜなら、子どもの未来を長期スパンで考え行動しているからです。

 『学び合い』は二十年にわたって、教師のやっていることをそぎ落としました。そして、以上が今の私の考える教師の芯です。

追伸 私がやっている「場を提供する」とは、学生がやりたいことをやれるように何百万円の予算を獲得し、それを自由にさせる。彼らが日本全国の数十、数百の人と繋がれるようなネットワークを構築し、それと繋がるきっかけを与えることです。

 前者は一定のノウハウが必要です。これに関してはゼミ生に伝授しています。しかし、後者は同志は出来ることです。自らが他県に出かけ、多様な同志と繋がればいいだけです。「多様な人と折り合いをつける」は子どもばかりではなく、自分も同じです。