■ [大事なこと]能力

人文社会学系学部への風当たりが強いが、大学人がその意味を分かっているだろうかと思う。簡単に言えば、社会が必要とする人材を養成して欲しいということだ。ただ、大学側が、社会が必要とする人材を正確に捉えているとは思えない。
例えば、今の入社試験の面接では、以下のようなやりとりがなされている。
人事:弊社を希望されたのは何故ですか?
人事の側も、突っ込んだ質問をすれば学生が立ち往生するのは目に見えているので加減します。ところが今後は変わります。公務員試験のI種とII種のように入社試験は別になるでしょう。そしてI種はトップ校以外は受験できないでしょうね。そこでは「全面核戦争が勃発した後に弊社はどのようなビジネスモデルを立てるべきでしょうか?」レベルの質問に対して、その場で10分ぐらい論理的に話せる人を取るでしょう。
II種の試験で聞かれることは全く別です。
人事:大学では何を専門とされたのですか?
人事:そうですか(ため息)。で、実務経験は?
人事:実際に働いた経験です。
人事:弊社の業務とは関係ないですね。で、何か資格をお持ちですか?
人事:はい、終わりです。
言うまでもないですが、この学生は落ちます。受かる学生の面接は以下の通りです。
人事:大学では何を専門とされたのですか?
人事:具体的にはどのようなことでしょうか?弊社のビジネスと関連して説明下さい。
学生:複数の衛星画像を用いて、今後10年間の小麦の生産量を予想するシステムの構築です。御社は現在・・・(業務との関連を説明する)。
学生:私の所属する研究室は御社の○○研究所と共同で画像解析システムの構築をしております。私もその仕事の中の○○の部分に携わらせていただいております。研究所の○○さん、○○さんには大変お世話になっております。
人事:え?・・・あ、○○研究室の方なんですね。弊社がいつもお世話なになっております。ところで資格は何かお持ちですか?
学生:はい。一応、英検準1級の資格を持っています。しかし研究所の○○さんからスペイン語も話せるように勧められていますので、現在、スペイン語も習っているところです。
以上がこれからの面接です。ということに対応出来ますか?というのが「人文社会学系学部の縮小再編」の本当の意味です。国立大学に対しては、文科省が「親切」に教えているのです。私立大学は市場が断を下します。学術がどうのこうのとか、リベラルアーツがどうのこうのではないのです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150719/k10010159301000.html