■ [大事なこと]高校
私が高校教師だった三十年前。教育のことを考える高校教師は「バカ」です。高校教師が読む本は教科の背景となる学術書です。
私が高校教師になったとき、それがとても違和感を感じました。東京都の理科の教師が集まる会合、研修会、そこで語られることは理学部の会話そのものです。が、でも理学部で現在はなされている内容より、かなり古い。私の印象は二流、三流の理学部知識で勝負している先輩教師の姿が滑稽でした。そんなのは理学部の博士課程に進学した同級生には決して勝てるわけありません。自分の専門性で勝負するならば、教師の職能で勝負すべきだ。
が、そんなことを思う教師は少数です。
だから、大きな本屋で並ぶ本の大多数は学級担任制の小学校教師向けの本が大多数です。そして、それよりも「ぐっと」下がって中学校教師向けの本が並びます。が、高校教師向けの教育書を見ることはありません。ま、出版しても買う人はいませんから。
今から、十年前、高校で授業研修会があると聞いて、腰を抜かしました。そんな時代になったんですね。と。
本日、出張から帰ると東洋館出版社より新刊本の献本が届きました。
タイトルは「高校教師のためのアクティブ・ラーニング」です。私の不勉強かもしれませんが、本のタイトルに高校が入る、教育書のメジャーの出版社から出る本は天地開闢以来、最初ではないでしょうか?
もと高校教師として、その先鞭をつけられたことを誇りに思います。
追伸 本のタイトルの最終的な案は、私は出版社に任せます。これをお願いした編集者のHさんは高校という文字を入れることを決めました。それを知り、三十年の時の流れを感じました。この一歩は大きい。