■ [う~ん]腕
本日は二つの授業が連続していた。後期のはじめの授業ですので、完全一斉指導型エンターテーメントです。語っているときは憑依していますが、終わると脱力感にかられます。それにしても昔はこれをどんどんやっていたなんで、我ながら凄いと思います。同時に、もうしたくないな~。
今日は久しぶりに150人規模の講義です。昔の技を駆使した授業です。語るだけ語った後、「じゃ、今日はこれまで」とさっと帰る私の背中に学生さんの拍手が起こる。こうなると「やった!」と思います。司会者の音頭で起こる拍手ではなく、自然発生で起こる拍手です。封印している腕は衰えていないなと思います。
しかし、左前方に一人の学生は眠たそうにしており、真ん中後ろに3人がアクビをしている。左中断に反抗的な視線を向ける学生。その他に4人。計、9人がいました。そのうち5人はテクニックを駆使すれば、こっちに引き込める。が4人は最後まで無理でした。腕が落ちたなと思います。昔は、こっちからで向いていじくって引き込むテクニックを使っていたが、それを使う気になれない。
たまには「アリ」ですが、どうも学生さんの力量を引き出していいない自分に自己嫌悪します。「飛び込みなんだ」と連呼する自分がいます。
■ [大事なこと]教科専門
身近に手に入れるのだったらタンポポの方がいいですよね。
アブラナの花は桜に比べて小さい。日本の花と言えば桜ですよね。
じゃあ、なんでアブラナなのでしょうか?
学習指導要領の5年生には「エ 花にはおしべやめしべなどがあり,花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり,実の中に種子ができること。」とあり、取り扱いは「エについては,おしべ,めしべ,がく及び花びらを扱うこと。また,受粉については,風や昆虫などが関係していることにも触れること。」とあります。
市街地において最も身近な植物はキク科植物とイネ科植物です。ところが、タンポポなどのキク科植物は集合花です。普通の人が花びらだと思うのが一つ一つの花なのです。小学生に集合花を説明したり、一つ一つの花の花びら、おしべ、めしべを見つけるのは困難です。
チューリップの場合は、花びらと萼の違いが見分けがつきません。我々がチューリップの花びらだと思っているうちの3枚だけが花びらで、外側の3枚は萼です。しかし、こんなことを小学生に説明すると混乱しますよね。朝顔の場合、花びらを何枚であると説明したらいいでしょうか?
桜の場合は構造は分かりやすいのですが、バラ科植物は個体の変異幅が大きいのです。そのため、そのため、アブラナのように花びらが何枚、おしべが何枚という基本構造を理解させるのが困難なのです。
その他、市街地にもランの仲間の花をよく見かけますが、特殊化が進んでいる花なのです。
ということで、花屋に並ぶ花の中でアブラナに比肩できる花は殆どありません。
つまり、なにげにアブラナの花の観察をしているわけではありません。
これを大学に就職してから生物学の先生から教えてもらいました。今の大学の生物は分子生物学や生理学などを学びますが、分類学などをしっかり学ぶことはありません。そもそもそのようなスタッフをそろえませんから。そんな学生が現場に出て博物学的な小学校の理科を教えるのです。
その生物学の先生には色々と教えてもらいました。そして、生物学が小学校理科に以下に関わるかを実感させてもらいました。
今、教員養成系の教科領域の教科専門は危機的状況にあります。今までは設置基準という規則によって守られていたのですが、基準が大綱化されたため、教科専門の人がいなくても大丈夫になってしまったのです。かなり以前から教科専門に対しての風当たりは強かったのですが、設置基準があるため教科専門の人の危機感はイマイチでした。
「教科専門は専門を教えればいい。その専門を実際の理科に繋げるのは教科教育学の人の仕事だ、いや、学生が学校現場に行って学べばいい」、それが本音だったと思います。でも、私に上記を教えてくれた生物の先生のように、生物学の専門家だから出来る教科専門の人は生き残れると思います。そして、大事にされます。