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2015-12-10

[]メインプレーヤー 21:08 メインプレーヤー - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - メインプレーヤー - 西川純のメモ メインプレーヤー - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日、ある方より聞きました。地方の教育行政担当者が「アクティブ・ラーニングを全部やれとはどこには書いていない」と言ったそうです。その方は憤っておられました。が私は爆笑しました。

 その通りです。文部行政はもの凄く曖昧にします。だから、言語活動の充実をあれだけ学習指導要領に書いても有名無実に出来るのです。もともと学習指導要領の縛りはもの凄く緩いのです。で、私が爆笑したのは、その担当者は自分たちがメインプレーヤーだと思っている点です。おそらく、自分たちでアクティブ・ラーニングをなんとでもコントロールできると思っているのでしょう。もっと凄い担当者だったら、「我々は既にアクティブ・ラーニングを実践している(つまり、何も変えなくてもいい)」と言うでしょう。

 そんなことを言っている人はプレーヤーから脱落しているのです。

 アクティブ・ラーニングを指導法レベルでとらえている人が99%でしょうね。でも、その人達は今後に関して何も関われません。ルールが変わっているのを知らないから。

 私の本を読んだ方だったらお気づきだと思います。中央教育審議会の答申や高大接続プランのことは本のごく初期の段階で紹介しますが、あまり重視していません。私としては学習指導要領も入試制度に関して文科省の奥の院で何が決まろうと、決まらなかろうと、それほど重要ではないと思います(全く意味が無いとは言いません)。大事なことは日本の社会の経済が決めるし、雇用社会が決めます。そして、それを理解した大学、高校、中学校、小学校がバカな議論をほくそ笑みながら着々とやるべきことをします。今年になってから、色々とハッキリとした動きがあるのですが、プレーヤーから脱落した人は、その重大さが分かっていないのです。いや、分かりたくないのでしょう。

 気持ちとしては、もの凄く下手な人と囲碁をする高段者の気分です。相手がとてつもなく下手であることは最初の数手でハッキリとしています。そして、相手は自分の下手さが分かっておらず、互角だと思っている。そのため投了しないのです。将棋の場合は、さっさと王将を取れば終われますが、囲碁はそうはいきません。相手が投了しないならば、百手以上も打たねばなりません。

 気持ちとしては怒るのではなく、呆れ、面倒なのです。

追伸 アクティブ・ラーニングが語られる時、99%は方法です。大事なのは、どんな子どもを育てるか、です。そして、それを理解するには、今から30年度、40年後、50年後、60年後はどんな社会であるかです。でも、その先があります、その先の未来を豊かにするには何が必要か、です。それは教材研究レベルでは永遠に分かりません。

追伸2 行政が縛るときには施行規則レベルの別表あたりの数値で縛ります。見た目はもの凄く何気ないのですが、それがポイントです。省令ですので国会の審議が不必要です。

[]解決策 07:18 解決策 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 解決策 - 西川純のメモ 解決策 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は様々な本に「こういうことがあったら、こう解決する」ということを書いています。私の書いた本の多くはそれで占めています。なぜなら、多くの先生の関心事だからです。でも、実はもっと簡単です。

 西川ゼミは上越教育大学で最大の人数を占めています。そしてキャラが立っている。だから、色々ないざこざがあるのは当然です。また、我々の掲げている『学び合い』は一般的ではない。それを掲げて学校現場に入るのです。色々なことが起こります。しかし、わたしがやることは極めてシンプルです。

 ゼミ生達が相談してきたら、まず、その問題を解決すべきであること、そして、それを解決できると「したら」私ではなく、ゼミ集団であることを語ります。そして、中長期で解決すべきで短期では解決できないことを語ります。そして中長期でも解決できない場合はあることを認めつつ、でも、だからといって諦めるのではなく、諦めずにいること自体にメリットがあることを語ります。

 それだけです。

 ま、ということを言われるであろうことは分かっているので、ゼミ生達は私に相談しません。たまに「先生が言われることは分かるのですが、でも・・・」と言うことはあります。ま、「愚痴」です。愚痴は聞いてあげます。そして、ゼミ生の期待通りの返答をします。

 『学び合い』のセオリーはシンプルです。だから、ぶれずにいられる。だから、教師と学修者の中で安定した了解が形成される。

追伸 3年に1度ぐらい、相対的に大きな問題が起こる場合があります。原因は私の心の緩みです。その場合は、色々と解決策が頭に浮かびますが、最終的にそれを捨てます。そして、最初に謝り、上記のことをします。それで解決できるかどうかの問題ではなく、解決できるとしたらそれしかないことはセオリーの示すとおりだからです。

[]『学び合い06:50 『学び合い』 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 『学び合い』 - 西川純のメモ 『学び合い』 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 数ヶ月前のことです。修士1年の院生から「西川研究室は『学び合い』を研究していますが、『学び合い』をしていますか?」と聞かれました。笑いました。

 私の研究室にはネームプレートはありません。最初の語りや最後の語りはありません。「一人も見捨てるな」とも言いません。可視化もありません。おそよ、私が本で書いていることは何もありません。

 その代わりにあるのは、私が様々な行動においてセオリー通りに行動していることを見せることです。そして、彼らが何かをしたいときに可能となる環境を整えることです。そして、ゼミ生の成長を願い、関心を持つことです。一見簡単なようですが、セオリーが身体化しないと無理なことです。そして、学修者が出来ないレベルのこと(例えば政治や予算獲得)をやり続けなければなりません。

 『学び合い』の本体は学校観と子ども観です。そこには方法は何か書いてありません。中長期の視点で今を考える。そして、学修者集団を信じ、自分の役割を吟味する。それだけです。

追伸 そのため、今、約20冊の本が世に出るための行動をしています。今でも、大きな本屋の教師用図書のコーナーには『学び合い』関係が大きなスペースを占めています。それをもっと加速させています。それが私の役割ですから(今のところ)。

[]異次元 06:29 異次元 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 異次元 - 西川純のメモ 異次元 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 大学院に入学する際に提出する書類には進学志望を書く欄があります。それを読むと、実に常識的なものです。

 大学院の学生さんには、以下のように言います。

 「大学院に入る前に持っていたテーマを修了するまでに解決できたら、それはそれで意味があるかもしれない。しかし、それだったら大学院に進学する必要は無い。大学院に入る前に持てるようなテーマだったら、大学院に入らなくても解決できるテーマだ。大学院に入って最初にすべきことは、入学する前には疑問にすら思っていないことを疑問に思えること。そして、大学院でそれを解決すべきだよ。

 (現職院生に対して)例えば、ある教材の研究をしたいとする。それだったら、本を読めばいいことだ。そして、それを毎日実践できるのだから、学校現場にいた方がいい。でも、本をじっくり読んだり、考えたりする時間は学校現場にはない。だから大学院、と考えるだろう。でも、本当に疑問に思うべきは、なぜ教師は本をじっくり読んだり、考えたりする時間が無いのだろう。それを解決することこそ本質的なテーマだ。それが解決できれば、学校に戻ってからも教材研究をずっとすることが出来る。

 (学卒院生に対して)例えば、授業の指導力を伸ばしたいと思ったとする。それだったら、担任として子どもの前に立てばいい。4週間の教育実習より、採用後の3日間の方が多くを学べるし、身につく。だから、日本中の大部分の先生は大学院に進学しなくても教師として生活できている。しかし、結果として一生涯、教師の誇りを持ち続け、成長し続ける教師もいる一方で、最初の数年で成長が止まり、子ども・保護者・学校に対する不平を言うことによって身を腐らせる教師もいる。では、その差はどこにあるのだろう。指導力自体ではなく、指導力を向上させつづけるものは何か?それを学ぶべきではないだろうか。」

 が、8割程度の人は常識的な判断をし、行動をします。ま、そんなものです。それでいいのです。が、2割の人は、私の言葉にロマンを感じてくれる。