■ [ゼミ]幸せ

ゼミ生は可愛い。私という変な人を指導教員に選んでくれた。信じてくれた。そして2年間、一緒に同じ目標に走ってくれた。
それだけで愛するに十分な理由です。
本日、ある教え子が幸せであることを知りました。長い、苦労をしている人であることを知っているので、ジワジワと嬉しくなります。幸せを得るには苦労が多かったと思います。しかし、その苦労以上に大事なのは、それを失わない行動。
このメモは私とその人しか分かりません。
そして、その人は絶対に反応してはいけません。
とにかく、嬉しいので、ここにメモります。
■ [お誘い] アクティブ・ラーニング時代の教室ルールづくり入門

職業柄、色々な学校に行きます。
中学校に行くと、体育館での集会の際、暴力団のような表情と声で生徒を動かしている教師がいます。また、絶えず指示を与え、注意を与え続けている小学校の教師がいます。
危ういな、と思います。
たしかに昔は、それでも出来たのかもしれません。しかし、今の子ども達の保護者は民主主義で育った大人です。子ども達は権利に対する知識も意識も違います。
私の現場経験は定時制高校で暴走族相手に物理を教えることです。そこで、子ども達が集団となって反抗したら、教師は何も出来ないことを知りました。その結果、命令するのではなく、納得させるしかないことを嫌と言うほど分かりました。
脅かすつもりはありませんが、これから十年以上教師を務める人ならば、必読だと思います。卑屈にならず、威圧的にならず、ちゃんと語ることが大事です。
■ [大事なこと]商品価値

商品価値のことを言いました。でも、抽象的だったかもしれませんので、補足します。
例えば、海外の日本人学校での教師経験がある方は少なくないと思います。そこから学んだことは多いと思います。ただし、比較教育学の大学教師が書くような制度的なものはいいのです。また、教室の掃除をするのは業者だとかいうレベルもつまらない。もっと現地の人との繋がりの中で生じた軋轢が面白い情報があります。
例えば、民間の営業で苦労して、その後に教員になった方も少なくないと思います。営業で生き残るために、どんなことを学んだのでしょう。そして、それを今にどのように活かしているのでしょうか?私は暴走族相手に物理を教えたことは、今の教育観に決定的に影響を与えています。きっと、営業で悩んだことで学んだことはあるはずです。私が暴走族相手の教育に留まらず、そこから広げたように、民間の営業で学んだことを広げることは可能です。
これは塾を経験した人も同じです。学校の事務職を経験した人も同じです。中学校で長らく教員をして小学校に異動した人、また、その逆の方も面白い経験をしたと思います。
英語の教師の中には、海外で仕事した人もいるでしょう。その視点から語れることもあるでしょう。
私は生物を専門とする学部を卒業したのですが、物理教師として採用されました。それと同じように、卒業した学部と現在の教科が違う人もあると思います。だからこそ気づけるものもあります。
認知心理学に族類似という概念があります。我々は教師に対して一つのイメージを持っています。ところが、その全てを満たしている人は、案外、多くはありません。大多数は一致していますが、全て一致している人は多くはありません。実は、多くの人は、その人なりの商品価値があります。
■ [ゼミ]奥義

何事にも奥義があります。初心者に語ると誤解してしまうこと。だから、ある程度分かった人にだけ、伝えること。
私のゼミの様子はユーチューブで公開しています。本日の修士2年のゼミは何故か、ビデオがおいていません。そこで思いっきり奥義を語りました。ゼミ生は、「ビデオがないから言い切りますね」と言って大喜びです。
一定以上の経験と挫折をした人に、会話出来る状態の時に語れることがあります。
■ [大事なこと]甘い

昔から歴史小説が大好きで、太閤記は小学校低学年の絵本太閤記から各種読みました。その中の一つの解説にあったと思うのですが、豊臣秀吉が出世した理由が書かれていました。曰く、その時の自分の仕事に最善を尽くした。草履取りの時には最高の草履取りになり。薪炭奉行の時は最高の薪炭奉行になり。もし、草履取りの時に「おれはこんなことをする人ではない」と思っていたら、一生涯、草履取りで終わるでしょう。いや、それすらも出来ず暇を与えられるでしょう。
若い学生に言います。
「理想の伴侶と結婚したいと思っているだろ?しかし、そんなのは確率論的にまあ、無理だよ。大事なのは、おまえを拾って結婚してくれる人が最高の伴侶になればいい。その方法は、自分がその人にとって最高の伴侶になればいい。」と
とにくかくにも、就職出来なければ、その出発点にも立てない。
そこそこの大学に入れば、そこそこの職業に就けるという、旧モデルのまま大学生になってしまった悲劇ですね。
一度やめれば、非正規採用で一生涯すごす道しかない。厳しいのにな~。
■ [大事なこと]商品価値

自分という商品をグローバルに売り込もうとするとき、自分という商品を知る必要があります。
私の商品価値は以下の通りです。
1) コンピュータが得意で、それを駆使した統計分析に長けている。
今では笑い話ですが、私が教科教育研究に入った頃は数十人のデータで作った棒グラフを使った論文が学会誌に掲載されていたのです。私は大人数のデータを収集し、それを統計分析したのです。その当時、名義尺度・順序尺度の統計分析が分かっていたのは、おそらく私ぐらいだったと思います。だから修士時代に、2つの学会誌論文、一つの紀要、歴史ある海外学術雑誌に掲載されることが出来ました。
ちなみに、これは既に一般化されているので武器になりません。だから、これを使って闘おうとはしません。
2) 生物物理学を学んだ。
日本に生物物理学の学会が生まれたのは1960年です。私が生まれた年の次の年です。つまり私が大学2年で足を突っ込んだときは20年ぐらいの歴史しかありません。だから、それを学ぶ人は少なかった。生物のようなグチャグチャしたものをシンプルな理論に近似するという手法をそこで学びました。これは今でも役に立っています。
3) 現職教員が多数学ぶ上越教育大学の教員である。
これによって現職教員と一緒に研究することが出来ます。初期の段階ではアンケートの被験者を集めることに協力してもらいました。だから、ボンボン論文が書けました。そして、後半になると、学校現場に中長期に入る研究を進めることが出来ます。
なお、現在の私の武器は日本中に同志がいる点です。ですので、必ずしも上越教育大学に勤めていなくても臨床的研究が出来ます。
4) 上司に恵まれた。
私は上司に本当に恵まれました。大々的に宣言しますが、私は生涯に1度たりとも直属の上司を非難する言葉を言ったことはありません。それは家内との会話においてでもです。それほど素晴らしい上司だったんです。おかげで我が儘放題は出来ますし、学会における活躍も出来ました。
残念ながら、お世話になった上司は鬼籍に入られたり、他大学でご活躍されています。今は、日本最高の教員集団である上越教育大学教職大学院のスタッフが武器です。何をやっても後ろから打たれることはないし、何かやろうとすると一緒にやってくれる仲間です。
また、全幅の信頼を置ける出版社の編集者とのつながりは武器です。
以上があるから、惚れ惚れする天才がいる研究者の中で、名だたる学閥の名流に属していない私が学会で活躍でき、実践書を多数出せました。
さて、自分の武器は何でしょうか?
商品価値は希少性にあります。だから、当人が価値があると思っていたとしても、それと類似する人が1%以上いるならば、それは武器になりません。もし、グローバルレベルで戦える武器がない場合は別な方面で戦うべきです。それが95%以上の人の武器です。
これにはニッチな商品をロングテールで打ち込む方法と、ローカルで戦う方法とがあります。
ニッチな商品としては、「教員生活の殆どを離島の学校の教師として過ごした」、「スイミーを30年間、教材研究している」などが考えられます。その商品を必要とする人はおそらくものすごく少ない。だから本などの形にはならないでしょう。しかし、電子書籍だったら成り立つかもしれません。
ローカルでの最大の武器は、人と人とのつながりです。そこでの信用、その人に対する情報です。おそらく多くの教師の場合は、ここが勝負所だと思います。ちなみに、私の一生涯続く、最大の武器もここにあるかもしれません。『学び合い』というローカルな社会で、その黎明期において汗をかく人との人間的つながりの多さ、多様さは私がダントツだと思います。
自分の商品価値を冷静に分析することは有効です。
「私は授業がうまい」、「私は文章がうまい」などのあまり客観的に評価できないものは、いくらでも類似品が出てきます。第三者からもハッキリ分かる希少性がポイントです。なお、本当に凄い人は、自分で価値を生み出せる人です。ドラッカーの言う顧客を創造できる人です。