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2016-03-12

[]アンケート調査 21:44 アンケート調査 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - アンケート調査 - 西川純のメモ アンケート調査 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 エビデンスベースが広がっていることはいいことです。が、ちゃんと理解するのは学者レベルでもまだまだです。

 ちなみに、教育研究で数千人のデータを集め、それを統計分析をかけた論文を最初に書いたのは私だと思います。少なくとも初期メンバーは私です。その頃は、コメニウスだペスタロッチだ、フランスがどうのこうの、ドイツがどうのこうのの時代です。数的な分析をする研究はフィロソフィーが無いと否定されました。

 そして、実証的な研究に関して著書もあります。

 という私がエビデンスベースの主張が本物か否かを判別するポイントを申します。

1) 選択肢を判断する幅が大きい(曖昧)。

 例えば「今の教育はいいですか?」のレベルの定義が無い言葉が使われいます。例えば、「今」とは何でしょう?「いい」とは何でしょう?

 もちろん教育での言葉は定義不可能なものが多い。しかし、アンケートをつくる人が、誤解が無いような工夫をしているか、その危うさを理解しているか否かが分かります。

2) 統計分析の選択が正しい。

 例えばです。好きな果物は何ですか「1」リンゴ、2)ミカン、3)パイナップル」で100人中50人がリンゴで、50人がパイナップルだとします。平均すると2のミカンです。だから、平均するとミカンという結論はおかしいですよね。数値には加減乗除が出来る数値と、加減は出来るが乗除が出来ない数値と、加減乗除が出来ない数値とがあり、それぞれの統計分析があります。いまだに、加減乗除が出来ないのに、加減乗除が出来る統計分析をしている統計分析をする人は少なくありません。私も、そんな分析をしたことがあります。でも、それを分かってして、だから、その限界の範囲で物事を語ります。

3) 理論がある。

 統計分析の結果は因果関係を示すものではありません。もちろん、因果関係を推定する統計分析はありますが、そうじゃないのに勝手に推定しているものがあります。まあ、教育の場合統計結果で因果関係は分からないと思った方がいいです。ではどうするか?理論が大事なのです。研究で示すのは真実ではありません、蓋然性の高いモデルなのです。

 他にもありますが、代表的なのは3つです。

 教育研究の実証的研究は未整備です。でも、エビデンスベースという言葉を聞くと、今から三十年以上前に我々が始めたレベルの言説が今も跋扈していることに呆れます。

 ということで、あまりに馬鹿馬鹿しいので、20年前に脱しました。今は、量的データと質的データ、それも半年以上の多様な方法の総合による研究を進めています。

 でも、本質的な問題は、教育を変えるためには教師が納得する研究であらねばならないのです。どんな研究も現場の教師が読めるレベルで分かりやすい内容でなければなりません。同時に、思いつきレベルの経験法則を超えるデータが必要です。それがないと権威主義に陥ります。

[]飛び込み授業 13:22 飛び込み授業 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 飛び込み授業 - 西川純のメモ 飛び込み授業 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が理科教育学会で大変お世話になった川上先生(元日本理科教育学会学会長)が退職後に飛び込み授業を手弁当でされています。

 バリバリの研究者ですが、そこらの教師が裸足で逃げ出す授業をされます。うまいですよ~。非『学び合い』というより反『学び合い』の立場で、しっかり教えるべきだというお考えです。でも、私のことを可愛がる心の広い方です。

 お誘いします。

http://urx.mobi/sCJE

http://urx.mobi/sCJC

http://urx.mobi/sCJz

[]学位記授与式 06:55 学位記授与式 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 学位記授与式 - 西川純のメモ 学位記授与式 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 来週には卒業式があります。

 大学の教員は卒業式に出席する必要はありません。出席しなければならないのは、ひな壇に上るお偉いさんと担任のみです。上越教育大学に三十年間勤めましたが、卒業式に参加したのは一回だけです。理由は。最近になって学位記授与の際に名前を呼ぶのが担任になったからです(かつては事務の方がやっていました)。その1回も、私の担当する読み上げが終わり次第に退出します。

 学生食堂は祝賀会です。そこに出席するのが嫌なので、大学の外で一人で食事をします。

 卒業式が近くなると飲み会が増えますが、コース長なので最初の挨拶はしますが30分以内にいなくなり、自宅で晩酌をします。研究室の飲み会には参加しますが、ゼミ生の飲み会に参加しているスタンスです。二次会には行きません。一次会すらも最後までいるとゼミ生は驚きます。

 私としては、ことさら何もせず、淡々と過ぎていきます。

 私がゼミ生に伝えられることは、既に伝えきっていると思えるので、もう、何も仕事は無いと思っています。

http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20030321/1172994735

追伸 もう一つ理由があります。変な私を選び、2年間を賭けてくれたゼミ生と別れるのが辛いのです。だから、淡々と過ごします。