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2016-08-30

[]困ったな 21:43 困ったな - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 困ったな - 西川純のメモ 困ったな - 西川純のメモ のブックマークコメント

 愚痴です。

 ネットサーフィンをしていると、「『学び合い』=アクティブ・ラーニング」であると「『学び合い』の人たち」(この言葉の意味するところが分からないのですが、まあ、私も含まれるのでしょうね)と主張しており、それを非難する意見が流れています。

 困ったな~、と思います。

 少なくとも、私はそんなことを主張したことがないのに(そう疑われる発言や記述があったら教えてください。修正します。)

 私は中央教育審議会の用語集をもとにアクティブ・ラーニングの定義を示しています。少なくとも、現状での定義はそれですから。

例えば、文部科学省が『主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)』という言葉を使っています。しかしこれは『「主体的・協働的に学ぶ学習」≒「アクティブ・ラーニング」』を意味しています。イコールだったら『主体的・協働的に学ぶ学習(「アクティブ・ラーニング」)』と表記します。

 今のところアクティブ・ラーニングの公的な定義は平成26年の「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」の用語集だと理解しています。ただし、その用語集に書かれているアクティブ・ラーニングの定義は多義的に理解できます。おおよそ3つに解釈できることを本では書いています。その上で「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。」が根幹であると私は思っていると書きました(唯一の解釈ではありません。ただし、平成20年の「学士課程教育の構築に向けて」の用語集に書かれたアクティブ・ラーニングの定義の中で唯一変更を加えた部分であり、意図的な変更であります)。そして、各種の答申や提言を元に、その背景には社会的な背景があり、子どもの未来を考えると、「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。」が根幹であるべきだとは書きました。しかし、だからといって『学び合い』のみが、その根幹であるとは書いていません。

 その上で、『学び合い』はそれにフィットしていることは色々な表現で書いています。しかし、唯一であるとは書いた覚えはありません(そう書いている部分があれば、教えてください。修正します)。ましてや、先に述べたように、アクティブ・ラーニングの定義の別な立場、その中には「何でもあり」という解釈もなりたつことを書いているのです。

 それなのに、「『学び合い』=アクティブ・ラーニング」であると主張している」という誤解が生じるのか分かりません。

といいつつ、その理由は分かります。

 理由は簡単です。ちゃんと原典を当たっておらず、それを吟味して批判されているわけではありません。おそらく自分の頭の中で作り上げているのでしょう。つまり、根拠に基づいて否定しているのではなく、そもそも否定したいという結論があり根拠を後付けしているのでしょう。

 困ったものです。

 数学や自然科学の場合だったら、最初に前提とするものを確認し、それが違っているならば、「そこが違うのですね」で終わりです(残念ながら、数学の人でもそれが分からず自分の前提が絶対だと信じ切っている方もおられるようですが)。

 前提が同じであるならば、数学の場合は論理のみ、自然科学の場合は理論と実証データで議論すればいい。当人は認めなくても、第三者は蓋然性の相対的な高さを評価することが可能です。非常に楽ですし、弁証法的な発展も可能です。

 ところが、社会科学の場合、上記のような根拠のない主張にもつきあう必要があります。なぜなら、社会科学の是非は、優れてそれが社会を変えたか否かで評価されるからです。それが面倒ください。

追伸 もちろん、感情的な議論につきあうつもりはありません。私は私の主張の根拠を明示しました。これに比肩する根拠を出せばいい。そして、第三者が判断すればいい。と思っています。ま、多くの人には、どうでもいいことですが・・・・。論理的な議論が出来ればいいのにな。

[]スキルチェンジ 17:21 スキルチェンジ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - スキルチェンジ - 西川純のメモ スキルチェンジ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 回り道と思わず、まずこの記事を読んで下さい。読み終わった後に、ずっと下の文章をお読み下さい。是非、これは守って下さい。そのほうが面白く、私の文章を読めます。

http://blog.btrax.com/jp/2016/08/28/designer-skills/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未来の話しです。タイトルは「教師に必要なのはスキルアップではなくスキルチェンジ」です。

 

●コアの部分を学校、それ以外を外注

別にそれらの職業が必要とされていなかったり、世の中に無くなったりする事は無いが、テクノロジーの進化と社会における教育の重要性の高まりに合わせ、教える”だけ”の限定的なスキルの教師はよりコストの低い、もしくは無料のネット上の動画を利用したりする事でまかなっているケースが多い。

 以前だったら分厚い参考書を使っていたが、授業のちょっと分からないことをネット上の動画で解決している子どもは少なくは無い。と言うのも、教師は有限の時間しか無く、クラス全員のニーズに個別に対応できないからである。

●教師にとって職能の“コア”とは

では学校教育にとって”コア”となる教師の仕事はどんなものであるのであろうか?それは何かを教えるということを超えた、子どもの人生全体に対する教育的アプローチをし、社会と子どもの幸せを創り出す仕組みを設計する事である。

抽象的な表現で分かりにくいが、教育的思考のアプローチから子どものニーズを割り出し、求められる体験を学校教育での教科学習や課外学習に反映する事や、その教育を世の中に広げブランドを構築する事が今教師に最も必要とされている役割である。

 具体的な役職としては、カリキュラムデザインをする教師や、地域社会のコアとなる教師、などが教育におけるコアを設計する教師職となる。教えるだけの教育はネット上の動画の域を超えず、これまで通りの”Nice to have”的存在で、無いなら無いでも良い、と思われてしまいがちである。

●複数のアクティブ・ラーニング型教師を面接して分かった事

 ここ数週間でアクティブ・ラーニング型教師の募集及び面接を進めた。全国には教員養成系大学及び教員免許を出す大学があり、民間の研修団対もある、加えて、教科や学校段階に特化した短期集中型コースを提供している大学や研修団体も多く、”アクティブ・ラーニング型教師”の肩書きを持つ教師は少なく無い。

 このポジションに応募した人の数は100を超えた。その中で良さそうな候補者数名と最終面接を行なった。最近大学を卒業した人もいれば、10年近くの教師経験のある人もいた。そこで気づいたのは、最近卒業した人は大学でアクティブ・ラーニングの勉強を行い、アクティブ・ラーニングのプロセスとメソッドを一通り身に付けている。

一方で数年以上の教師経験のある候補者の場合、元々教科職人型教師やエンターテーメント型教師からの”職替え”のケースがほとんど。他の指導領域で活躍していたが、最近アクティブ・ラーニングの勉強を始め、今後はアクティブ・ラーニング型教師をキャリアとする事を目標としている。

 この場合、今まで何かしらの教職の経験がある候補者よりも最近学校を卒業している人の方が格段に”アクティブ・ラーニング型教師”としてのスキルが高い。なぜなら彼らはまっさらな状態からアクティブ・ラーニング型のプロセスを一通り身に付けているから。

 実際、”良いな”と思った候補者の何人かは採用通知を出そうと思った頃には他の学校への就職が速攻決まっていた。一方で、他のフィールドでの経験豊富な候補者の場合はそうではないらしい。

●教師としてのスキルチェンジの必要性

 教師としての経験が豊富なのに何故簡単に就職出来ないのか? それは恐らく新しいタイプの教師職のスキルへのアップデートが完了していないからだと感じた。以前の指導スキルに頼りすぎて、アクティブ・ラーニングなどの新しいフィールドのスキルが100%身に付いていない。もしくは”アクティブ・ラーニングなんてちょろい”と思っているのかも知れない。

 これはかなり残酷だと感じた。今まで教師としてコツコツと身につけてつたスキルが時代の変化に合わなくなり、経験の少ない若手の方が適切なスキルを身につけている。今までのスキルの向上だけでは間に合わない。新しいスキルにいちから”変換”する必要がある。

 もちろん教科の背景となる学問や学習者理解の基礎となる心理学や学校制度などの教育の基礎となる知識とスキルは普遍的なものであり、とても重要だ。必要とされる知識、理論、考え方などは変わらない。

●参考: 教師という人達の仕事

 しかし、その重要性が高まるにつれ、教師に求めれる役割がどんどん広がり、変化してきている。ポジションによっては同じ”教師”と付いていても、その仕事内容と求められるスキルが大きく異なるケースも少なく無い。

 例えば教科職人型教師は数年前までは需要の高かったスキルであるが、最近そのニーズは下降している。教科職人型教師からアクティブ・ラーニング型教師に”転職”したいのであれば、スキルの入れ替え=スキルチェンジが必要になるだろう。

●航空パイロットから学ぶ既存スキルの危うさ

 以前に元パイロットの方からも似たような話を伺った。パイロットの仕事は安全に飛行機を操縦する事であるが、同じ”飛行機を飛ばす”というスキルでも、20年前と今とでは大きく異なる。なぜならテクノロジーの進化によりその操縦方法が大きく変わったからである。

 20年前はアナログ中心だったコックピットの計器はほぼ全てデジタル化され、液晶タッチパネルに。当然その操作方法も大きく変化した。ベテランパイロットは新しいコックピットで操縦方法を”学び直す”必要がある。さもなければこれまでのスキルでは操縦不可能になる。

そして、パイロットしての”感覚”が重要だった時代は終わり、複数のセンサーから得られるデータを活用する事の方が重要になっている。そうなってくると職人的なベテランパイロットよりも、パソコンやスマホを触って育って来た新米パイロットの方がより新しい機体の操縦に向いているという。

●現在のスキルセットで通用するのはあと5年

 航空機の場合は機材のアップデートはそこまで頻繁に行なわれないため、この変化は20年の年月を経て訪れたが、教師への変化はいままでは殆どなかった。しかし、時代は変革期である。教師の職能に関して、恐らく現在のスキルセットで通用するのはあと5年程ぐらいで、継続的なスキルチェンジをする覚悟が無ければ教師として生き残って行くのは難しいのかもしれない。

 こらかの教師は常に新しいスキルを身につける必要があり、それは現在のスキルの延長線上には無い可能性が高い。スキルアップではなく、スキルチェンジが必要になる。そのプロセスは厳しい。なぜなら新しい事を学ぶ事よりも、今知っている事を一度リセットして学び直す方が何倍も労力がかかるから。

 そんな点でも教師は残酷な職業である。