■ [大事なこと]臨床教科教育学会
昨日は信州大学で臨床教育学会の年会が開かれました。とても良い会でした。発表者の皆様、大会事務局の皆様へは厚く御礼申し上げます。
さて、その会での唯一の仕事は、懇親会の学会長挨拶でした。乾杯ではなく、学会長挨拶ですのでまとまった話をしようとしたら、大会実行委員長から「長い」と途中で止められてしまいました。学会に参加してから35年間ですが、そういうことは初めてで、それが私だったことにビックリしました。弁解ですが、5分も話しているわけではありません。これは私の講演会等をお聞きの方はお分かりだと思います。私は時間をもの凄く大事にする人です。
さて、話したかったことは以下のことです。
カリキュラム・マネジメントについてです。アクティブ・ラーニングと同様に、どのようにするかであれば何でもOKです。そして、無残に形骸化することが可能です。しかし、達成するものを理解すれば、何でもOKではないことが分かります。
カリキュラム・マネジメントで達成しなければならないことは3つです。
1)各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
2)教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。
3)教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。
1の質を高めるために2のPDCAサイクルを確立する必要があります。その2を可能にするために3)が必要なのです。これによって「社会に開かれた教育課程」を実現できます。つまり、まずは1なのです。前回の学習指導要領のカリキュラム・マネジメントは2だけだったのですが、1と3が加わりました。3はコミュニティースクール等で導入済みですから、1が新規なものなのです。つまり、ポイントです。
1をもう一度見直して下さい。何気ないですが、教科横断したカリキュラムを実現することを求めています。さて、日本の教科教育に関わる学会でそれが出来る学会はどれだけいるでしょうか?教科教育学の圧倒的大多数は単一の教科を対象とする学会です。複数の教科が関わる学会はありますが、参加者の多くは他教科には興味はありません。わかりやすい例は、学会発表の際、発表の対象とする教科が変わるごとに、大移動が起こる学会が殆どです。
臨床教科教育学会は教科を対象としていますが、教科を学ぶ子どもや教師を対象としています。だから教科横断的な議論が出来ます。
ということを語りたかったのです。ま、読み上げると3分以内です。
追伸 教科横断的な議論が出来ない状態で、各教科の人が集まってカリキュラムをつくろうとすると、どうなるか、私の年代の理科教師だったら「理科I」がいい例です。つまり、時間配分が話し合いで決まります。多くの場合は、均等割り、もしくは前年度並みとなります。教科横断的な議論がなされなければ、それ以外の結論はあり得ません。そして、各教科はその教科の論理でカリキュラムをつくります。そして、それを集めたものが、教科横断的なカリキュラムだと「言い張り」ます。
そうなると思いませんか?