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2018-02-23

[]ダイヤモンド 19:43 ダイヤモンド - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ダイヤモンド - 西川純のメモ ダイヤモンド - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日は大学近くの高校に飛び込み授業です。近くということで、久しぶりにゼミ生の飛び込み授業を見ました。セオリー通りに語り動きました。

 その結果、おそらくその学校の先生方がビックリするような変化が起こりました。実は私もビックリしました。『学び合い』実践者だったら、以下のことがどれほど凄いことかが分かると思います。

 まず、今回の飛び込み授業は学校の都合で2年生のみです。つまり異学年ではありません。2クラス合同の60人弱の集団です。

 授業の最初の挨拶がありましたが、この挨拶がピリッとしていない。(廊下で会うとちゃんと挨拶を出来る学校なので、不思議でした)ゼミ生が最初の語りをはじめました。しかし、空気はどんよりとしています。「こりゃ、難物だ・・」と思いました。ところがです。ゼミ生が「はい、どうぞ!」と言ったとたんに立ち歩き自主的なグループを作ったのです。それも1分以内に。これには度肝を抜かれました。先ほどのどんよりとした空気は一変していました。

 課題はセオリー通りに成績の良い2割程度が15分で解答できる課題づくりを担当の先生にお願いしました。担当の先生は「成績の一番良い子が15分で出来るかどうか・・」とおっしゃっていました。ところがです。開始5分程度で3人ぐらいの子どもがネームプレートを動かしはじめたのです。私の心の中には「こりゃ、話に聞いていたのと全然違う」と思いました。そこで、慌てて担当の先生に追加の課題づくりをお願いしました。

 次にビックリしたのが孤立している子どもが少ないことです。60人弱の集団の中で二人ぐらいしかいませんでした。ビックリするでしょ。一般的な集団の場合、6人ぐらいいてもおかしくないのです。ところが二人だけです。それも、1時間目の授業の途中には、一人は別の子が近づいて教えていたし、もう一人の子は自分から立ち歩いて行きました。つまり、孤立しているのではなく、積極的に関わろうとしていないと言うことです。つまり、60人弱の集団の中で孤立している子どもが一人もいないのです。ビックリするでしょ!

 ということで、1時間目の課題は30分ぐらいで全員達成で、2時間目の課題も半分ぐらいは達成と言うことで1時間目は終わりました。そして、次にビックリしたのが、クラスの3分の1強の子どもは休み時間も延々と問題を解き続けているのです。楽しげに。

 2時間目になって課題を追加したのですが、それも全員達成です。セオリーに反しますが、苦し紛れにさらなる課題追加をしました。それにも彼らは取り組んでいました。

 先生方にもビックリです。

 この『学び合い』の授業を見たのは初めてなのにニコニコしている先生が多いのです。子ども達の間を歩きながら、教えるのではなく、談笑しながら時間を楽しんでいました。「あ~、こんな先生が多いから、はいどうぞの後の素早い動きがあったんだろうな~」と理解しました。

 授業が終わってからの授業検討会での質問も的確で前向きな質問でした。それに対して的確に説明しているゼミ生の姿を見て誇らしく思いました。

 私はビックリして、興奮してこれを書いています。

 『学び合い』の初回から、このレベルに達している子どもや教師をみるのは初めてです。確かに課題もあります、闇もあります。でも、ものすごいダイヤの原石だと思いました。磨けば大化けします。あ~、凄かった。

 その事の可能性は、その学校の先生方が一番感じたと思います。

追伸 今日の授業者になった修士2年のゼミ生二人、そして参観した4人の学部2年生、そして、栃木の高校の先生方二人は、もの凄く「お得な」時間を得たと思います。おそらく、学部2年のゼミ生は、来年は飛び込み授業を行い、研究会の説明者になっていることでしょう。あはははははは。西川ゼミは魔法使いを養成中。

[]必然 06:56 必然 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 必然 - 西川純のメモ 必然 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 振り子の周期は弦の長さによって変化しますが、おもりの重さが変わっても変化しません。極端な例を言えば、100gの重りの振り子も、1tの重りの振り子も、弦の長さが同じだったら周期は同じなのです。これは体感的には同意しがたいものです。私は大学の物理の時間にそれが正しいことを数学的に計算しました。たしかにそうなのです。しかし、計算した後も「そうなんだ」とは思えない私がいました。

 今、ある本の初稿に手を入れています。1ヶ月ぶりに読み直すと、「まさか、そんなことあり得ない」という気持ちと、様々なデータから引き出される論理的な結論のギャップを感じます。気持ちはどうあれ、論理的な結論のような未来が来ることは避けられない、これは確信しています。私が描く未来は、変化を拒絶する人には地獄でしょう。それは明治時代初期の没落士族のようです。でも、我が子、我が孫、我が教え子の幸せを願う人には福音です。

 私が本で使うデータは誰でも直ぐに手に入れられるデータで、私の使う論理は至極単純です。でも、私のような結論を引き出している人は他にいない。どこかで頭が拒否しているのだと思います。拒否しても、時代は論理的な結論に至ります。

[]広げる 06:29 広げる - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 広げる - 西川純のメモ 広げる - 西川純のメモ のブックマークコメント

 新年度には『学び合い』を学校で広げたいという方は以下の三冊をお読みになって準備をして下さい。

 まずは「みんなで取り組む『学び合い』入門」(明治図書)です。これを読めば、3月中にどんな布石を置くべきかが分かります。新年度において全員で合意すべきことは何で、その合意にどのような意味があるかを書いています。そして、同僚・上司をどのように説得するか、「説得しないか」が書いてあります。

 次は「今すぐ出来る! 全校『学び合い』で実現するカリキュラム・マネジメント」(明治図書)です。全校『学び合い』は『学び合い』だけが持てる最強の武器です。これによって、殆ど『学び合い』を理解していない人でも、『学び合い』の授業を成功させることが出来ます。その成功体験によって本格的に『学び合い』を学ぼうとし始めます。

 小学校の場合は算数からはじめるのが一般的です。中学校・高校の場合、「数学は出来るけど私の教科は『学び合い』は出来ない」とおっしゃる方がいます。また、「小学校でも算数は出来るけど他の教科は出来ない」とおっしゃる方がいます。そのようなときに役立つのが、「子どもを軸にしたカリキュラム・マネジメント 教科をつなぐ『学び合い』アクティブ・ラーニング」(明治図書)です。この本には算数・数学、国語、理科、社会、英語の実践例が紹介されていますが、その他の多様な教科(音楽、図画工作、体育、技術、家庭科)の実践例が紹介されています。様々な教科の実践者の熱い思いが収録されています。