■ [大事なこと]呪縛
朝一番に、以下のメールが来ました。
「西川先生
こんにちは。めっきり春めいて参りました。
今回は、素敵なご報告です。
3年前に本校を卒業し、○○高校へ進学した生徒の一人が
なんと!この春、上越教育大学に進学を決定しました。
『学び合い』で2年半育てたかわいい女の子が西川先生のもとで勉強したいとのことです。
ぜひ、4月以降、西川先生と教え子に会いに上越にお伺いします。」
この子の場合、『学び合い』の説明は殆ど不要ですね。2年半、経験しているのですから。
さて、この子は上越教育大学に進学しましたが、この子の進学の選択方法は賢い方法です。「学歴の経済学」に書きましたが、親・教師世代が思っているほど、大学のブランド力は低下しています。昔は、大学の偏差値によって採用試験にソーティングをかけることが合理的でした。ところが企業は余裕がなくなってきています。ちゃんと使える人材を欲しいのです。使えない人材を受け入れて、企業内教育で育てる余裕はありません。だから大学のブランド力が低下しています。もちろん、偏差値が10違っていたら話は違うかも知れませんが、5程度は誤差だと思います。
この女の子の進学した学校のレベルから考えて、本学より偏差値の高い大学に入ることも出来たと想像します。しかし、そうしなかった。この子が入れる偏差値のレンジの中には様々な学部の大学が含まれます。しかし、彼女は教員養成系大学・学部というジョブ型大学・学部を選択したことが賢明です。
次に、ジョブ型大学・学部を選ぶとき、どのような教員がいるかを参考にした点が賢明です。
ジョブ型、特に教員養成系大学・学部のカリキュラムは基本的に金太郎飴です。特徴の出しようがありません。何故なら、大学の卒業単位数(百二十数単位)の中で、小中学校の免許を取るには八十数単位が必要です。この八十数単位は教育職員免許法によってガチガチに定められています。これは偏差値トップの教員養成系大学・学部でも、偏差値ビリの教員養成系大学・学部も同じなのです。差の四十単位の半数は卒業単位、及び関連科目が占めています。つまり、教員養成系大学・学部の違いとは、大学の違いではなく、卒業研究を指導する教員の違いなのです。この子は、それを選択判断の要素の一つにした点が賢明です。
この子が実際に卒業研究の指導教員を選ぶとき、私以外になる可能性はあります。何しろ、本学の同僚はチャーミングな人が多い。でも、高校生の時に選んだ人より、チャーミングな人に出会えるのです。とりあえず偏差値で選び、でも、自分にフィットする人がいないなんて不幸です。
このような偏差値で決めるという呪縛から子どもが逃れられるためには、まずは教師が呪縛から逃れなければなりません。義務教育の先生方へ。「それは高校の先生の仕事と」思ってはいけません。残念ながら、教え子の進学先の高校の先生が呪縛から逃れられていることを期待することは出来ません。だから、小学校の段階から、子どもに語らなければなりません。そして、私の本を保護者に紹介して下さい。早めに呪縛を解くことが大事です。