■ [大事なこと]次

次の働き方改革は、終身雇用の終焉だと思う。いや、そうしなければならない。今から三十年前に経済産業界が決めたこと。
有期雇用が基本となります。が、雇用者の気まぐれで解雇されないよう、採用時に操作的定義をされたミッションを与えられ、それが成り立っていれば再雇用される契約。結果として、結果を出せる人は終身雇用と同じになる。
■ [大事なこと]規制緩和

私は地域コミュニティの再生が日本再生のポイントだと思っています。
不景気が続くことによって終身雇用が終わる。次の働き方改革はその方向になるでしょう。終身雇用が終われば、企業内教育が無くなります。投資に見合わないから。
でも、地域コミュニティが一つの企業と考えられるならば、終身雇用も保障されます。今は十年で3割の企業が潰れ、二十年で半数が潰れます。でも、地域コミュニティの企業群の中で異動すれば終身雇用は保障できます。ならば、企業内教育も維持できます。
そんな地域コミュニティが新たな教育体を創ったら、きっとローカルエリートを育てられる教育をつくり出します。
■ [大事なこと]規制緩和

「2030年教師の仕事はこう変わる!」を読んだ人から、「今の学校は無くなるのですか?」と聞かれました。私は爆笑しました。無くならないよ。おそらく、ラガートは今の学校に拘る。おそらくレイトマジョリティも今の学校を選ぶだろう。つまり半数以上は今の学校を選びます。ようは、そうでない人たちが今の学校と違う教育を享受できればいいのです。あとは結果で次の世代の教育が自ずと定まります。
今の予算は全員が学校に行くことを前提にしています。でも、教育機会確保法が成り立ったんですから、それ以外の道を保証すべきです。日本が義務教育にかけている予算は9兆円、子どもの数は1千万人。つまり、一人90万円のお金をかけています。だから大阪府や東京都が私立学校に進学している子どもの親に補助金を与えるように、学校以外で学ぶ保護者に補助金を与えればいい。逆に、その分、学校予算は減額になるでしょう。そうすれば、保護者、つまり国民が選ぶことが出来るのです。
ということにならないように、学校教育を守りたい人は先手を打たねば。さて、どちらに転ぶか。
追伸 そんなバカなと思っている人たちへ。東京都と大阪府の公立高校がどうなっているか、それを考えましょう。
■ [大事なこと]規制緩和

今までにも色々な地方議員の方が西川研究室に学びに来ました。そして、『学び合い』の生を参観した後、「行政としてどんなことをして欲しいですか?」と聞かれます。その際、「絶対に『学び合い』を推進して欲しくない」と私が言うとビックリされます。私は「行政が『学び合い』を推進しても、教員は動かない。やったふりをする。そして、『学び合い』を目の敵にする。だからやめて欲しい」と言うと納得してもらえます。そして、「やって欲しいのは、やり方の規制を解除して欲しい。例えば、○○スタンダード、○○モデルのように、あれやれ、これやれという型を止めて欲しい。その代わりに結果を厳しく評価して欲しい。例えば、全国学力テストで厳しく評価して欲しい。『学び合い』は結果を出せます。」と言いました。やり方の規制は排除し、結果を求めるのです。それが望みです。
■ [大事なこと]Society 5.0

Society5.0を実現したいならば、政府は何かを用意する必要はありません。誰かが用意しなければ広がらないものは必然性はありません。色々な人が自由に多様な試みを出来るように規制を無くせばいい。だから、どんなものが必要かより、どんなものが邪魔かを話し合えばいい。
が、それは出来ないでしょう。
だから、規制の埒外にいるフリースクールに期待しているのです。
■ [大事なこと]必然性

今思い出しました。
学部2年の時、石坂研究室に入って最初に与えられた課題は、「回折像の非対称性から、ゾウリムシの回転角度を測れるか?」でした。当然、学部2年の私は、その言葉の意味すら分かりませんでした。
もの凄い勢いで物理の本を読みました。読む必然性が生まれました
■ [大事なこと]チャーミング

私は入学試験に携帯電話を持ち込ませ、電話も含めてなにもかも自由に使わせればいいと思います。つまり、社会と同じ状態にするのです。そして、その分野の未解決な課題を与えればいい。
ある方から、そのような問題の評価はどうすればいいのか?と聞かれました。
その学部の研究者が読んで評価すればいいのです。専門家が読めば、一目瞭然です。専門家だったら、その分野の様々な意見を見聞きしています。だから、陳腐か否か、独創的か否かはハッキリと分かります。
例えば、具体的な保護者クレームのケースを記述して、どのように対応するかを書かせれば一発で分かります。例えば、事実確認をするか否か、一人で抱え込むか否かで分かります。かなり高校生時代に教師になりたいと考えていなければ応えられないですね。さらに、具体的なケースに基づき、障害児教育や発達心理学や社会心理学の知見を交えて論を組み立てられたら、勉強していることが分かります。そして、それを超えたことを書けたら満点です。
もちろん、専門家をうならせるような回答を書ける子どもは少ないと思います。それでいいのです。そのような子どもだけがアカデミックな大学に進学すればいいのですから。
なお、電話も使えるのですから、何も考えず、相談してカンニングをすると言うことも出来るでしょう。でも、在学中の講義が全て上記のような課題を与え、学生同士で議論させるようなものだったら、つまり、アクティブ・ラーニングをすれば、馬脚は現れます。成績の低いのは退学になります。ということが分かれば、誤魔化して入るようなことをしません。
追伸 私の大学院・学部の授業のメインは、「私はありとあらゆる面で『学び合い』は一斉指導よりマシである、かなりマシであると考えている。その私を論破しなさい」という課題を与えています。どのようなレベルの質問をするかで、どれだけの能力があるかは一目瞭然です。
■ [大事なこと]文脈依存性・領域固有性

何度も書いたことだけど、数学を学ぶと論理的思考力が伸びると考えるのはナイーブ(素人的)な考えです。学術的にそれを実証した論文を寡聞にして読んだことはありません。逆に認知心理学の文脈依存性・領域固有性から言えば、数学を学ぶことによって伸びるのは数学の問題を解く場合の論理的思考力であって、一般的な論理的思考力ではありません。つまり、数学者や数学によって問題解決している科学者・技術者以外は殆ど無用なのです。
学んだことが限定的にしかつかえないということは、非効率的だと思うかもしれません。しかし、極めて効率的なのです。
「The Oxford English Dictionary」(OED)という辞書があるのをご存じでしょうか。全20冊で構成され、その一冊一冊大判の辞書です。英語に関するありとあらゆる言葉、用法が記されている本です。さて、この辞書を使って高校入試程度の英文を訳した場合を想像して下さい。OEDであれば、引けない単語は存在しません。しかし、明らかに効率が悪くなります。一つ一つの単語を引く度に、新たな1冊を探し、その中から目的とする単語を、膨大な枚数のページの中から探し出さなければなりません。さらにその単語を見出しても、シェークスピアの作品における用法等までも書いてある説明の中で、目的の用法を見出すのは手間がかかります。
もちろん、科学論文を読もうとすれば、高校生が使う辞書ではまにあいません。しかし、だからといってOEDを利用することは無いと思います。その専門に対応した辞書(例えば、生物学の論文を読むならば生物学事典)と、一般の辞書で事足りると思います。
我々の頭の中には膨大な知識・技能が詰まっています。認知心理学では、その記憶容量は無限大であると仮定しています。そうであるならば、先のOED以上となります。もし、そのような膨大な知識・技能の集積の中から、必要な知識・技能を探そうとした場合、砂浜で針を探すようなことになります。
我々の知識・技能は、それを獲得した状況と結びつけて記憶されるため、効率よく探し出すことが可能になっています。例えば、先に述べた年長の先生の場合、論文を書く際に必要な一連の知識・技能(その中にはその領域で論理的だと判断される文章の書き方、論証の仕方)が「学術論文を書く」というラベルがついているのです。そして、論文を書く際、「学術論文を書く」というラベルを索引から探し、その中の知識・技能の中から必要なものを捜すのです。
もし、他大学のA先生と共同執筆する場合は、「A先生」というラベルも検索から捜すことになります。それによって、A先生と一緒に仕事をする場合は、どのようなことを注意しなければならないかという知識・技能を、「学術論文を書く」と一緒に使います。ちなみに、私が怒鳴られたときに黙って承ったのも、「その先生」というラベルの貼られた過去の事例から判断しました。
以上のような方法に基づいて人類は様々な課題を解決し、100万年を越える生存競争の中で生き残ってきたのです。
この方式が効率が高いため、人類の長い進化の中で保持しているのです。そして、一般化できない知識・技能は、例外ではなく、実は常態なのです。
つまり、数学を課せばいいだろう、というのはナイーブ(素人的)な発想です。
追伸 繰り返しますが、だから数学は無意味とは申していません。万人に適応されるのが、工業社会的だと申しています。
追伸2 先生方は同僚を思い浮かべて下さい。理学部数学科、教育学部数学コース出身者が常に、教員集団の中で論理的でしたか?ナポレオンは数学者ラプラスを内務大臣にしました。ラプラスはナポレオンに内務大臣として判断する課題に対して「陛下、数学的におかしい」と言ったそうです。ナポレオンは1ヶ月で解任しました。