■ [大事なこと]チェックメイト

安倍首相が文部科学省を潰すという話しを色々なチャンネルで聞きます。最初聞いたときはショックで呆然としました。(最近は抵抗感がつきましたが)でも、立法が見送られたフリースクールを義務教育にするという、教育機会確保法の拡充版が通ればそうなるな、と思います。もちろん、そうならないことを願っています。
■ [大事なこと]ママ友の会話

以下は架空の会話です。しかし、既にそれと同じようなことが日本で起こっており、今後増えるであろう会話です。
田中:お久しぶり。お互いに来年は高校3年生になるわね。幸子ちゃんはどこ受けるの?
佐藤:あの子はのんびり屋さんだから、まだ決めていないの。恵子ちゃんはどこ受けるの?
田中:あの子は○○大学だっていっているだけど、この前の模試の結果では届いていないの。あ、そういえば山田さんのお兄ちゃん東京大学に合格したの知っています?凄いわよね~。○○高校で合格したのは1人だけで、それが山田さんのお兄ちゃんだそうよ。
田中:え??聞いてなかった。お兄ちゃんはたしか○○高校に進学したのよね。じゃあ○○高校で東京大学に合格したのは二人なの?一人だけだって聞いたけど。
田中:え?聞いていなかったは。何で?
佐藤:あの子が、「この学校の勉強は自分に合わない。それに進路指導の先生が昨年まで農業高校に勤めていて、旧帝大の受験のことを聞いても何も応えられない。僕でも知っていることを応えられないんだよ」と言ったので、「それなら、そうしたら」と退学させたの。
佐藤:インターネットを探せば授業動画が一杯あるのよ。私も観たけど、私の高校時代の先生より遙かに上手いの。それに問題集、参考書はあるし。最近は東大生も参加するネットサービスがあるわ。インターネットのテレビ電話で分からないところを教えてもらえるし、受験傾向のアドバイスも得られる。
佐藤:そりゃなるわよ。だって受験に関係しない科目の勉強をせずに、ひたすら受験に関係する科目に専念できるから。もろもろの学校行事にも参加しなくてもいい。徹底的な受験勉強ね。
佐藤:そんなことはないのよ。高校卒業程度認定試験という試験があってこれに合格すれば大学受験資格を得ることは出来るの。試験科目は5教科のみ。だから、大学受験の勉強をしていれば、自然と合格できるわ。
田中:なんか、凄いけど、それでいいのかしらって思っちゃうけど。
佐藤:私も。でも、お兄ちゃんがそう願ったから応援したの。下の幸子はお兄ちゃんの勉強する姿を見ているけど、私はみんなとわいわいやれるから高校に行くって言っている。だから、幸子は高校に通っているの。
田中:へ~。でも、お兄ちゃんは一人でずっとというのは辛くないかしら。
佐藤:不登校の子どもをバックアップするNPOはこの町にもあるの。そこに行けば、年齢の違った色々な子どもと関われる。あの子は中学校の子の勉強を教えていたわ。その子は息子の姿を見ていて、高校に行かない、って言っているみたい。親御さんも、その方が良いと言っているのよ。
田中:へ~。
そして田中さんは、色々なところで以上の話をします。その話しを聞いた保護者の中で、学校に行くことに辛さを抱えている子どもの保護者が佐藤さんに相談に行くようになります。増えるに従って、その地域の保護者の中で高校に行かないという選択肢が一般化します。
しかし、このことを知る高校の先生は殆どいません。いても、「変わった親がいるね」と思う程度です。
ちなみに、今は大学入試の話をしましたが、これは小学校、中学校の保護者でも同じです。二人子ちゃん、三人子ちゃんのママ友ネットワークの中で広がります。そして、キャズムの16%を超えたとき、一気に広がります。その時、学校は「何故、学校教育があるのか」に応えなければなりません。ちなみに、それが出来ないから「高校入試に影響するぞ」という脅し文句を使う中学校教師が少なくないのです。
以上、架空の話しです。
■ [大事なこと]シナリオ

今、OBと色々なことを話しました。その中で学校制度崩壊のシナリオが鮮明になりました。地方でも学校に行かせず、ネット上の授業動画や通信教材で学ばせる親がぽつぽつを生まれているそうです。その親はNPOを運営しているような人で、アンテナが高く、行動力のある人です。
私にとって新鮮だったのは、学校を全否定しているわけではなく、兄弟の中で学校に行かせている子がいる一方、学校に行かせてない子どもがいるそうです。ここが新鮮でした。
今、ネガティブな不登校ではなく、ポジティブな不登校を選択している保護者はイノベーターです。これがアーリーアダプターに広がって臨界点を超えるとパンデミックが始まります。イノベーターとアーリーアダプターの違いは、前者は理屈だけで行動しますが、後者は少数ですが実績を求めます。
イノベーターの人とその他の人との人的接触はないと思っていました。何故なら、保護者同士の接触は学校を介している場合が多いですから。だから、ネットや本などの情報によります。ですが、弱いな、と思っていました。ところがです、兄弟の中で学校に行かせている子がいる一方、学校に行かせてない子どもがいる保護者であれば、学校を介してママ友ネットワークに繋がります。それを通して、情報が流れます。
学校に行かない子どもが高校入試の科目に特化した勉強が出来ることが分かり、それが実際に結果として受験結果に表れることをママ友ネットワークで流れたらどうなるでしょう。そして、学校に行かなくても子ども同士が関われる場を、イノベーターの人がNPOで立ち上げているという事実を知ったら。
■ [嬉しい]濃縮

昨日は新潟県教育センターで講演しました。教職大学院のスタッフによる連続講演です。私はその最後です。タイトルは「学校・子ども・教師の未来。20年後にあなたは食べていけますか?」という、およそ一般の先生が食指を動かさないテーマです。私としては10人ぐらい来たらいいな、と思っていましたが19人集まりました。このレベルのテーマで集まる方々なので、いつもとはがらりと違えて、基本、参加者同士が話し合う研修会にしました。予想通り、「いい感じ」でした。こんな人達で職員室が構成されたら、どんなに楽しく、どんなに高い成果が上げられるか、と思いながら見ていました。
■ [大事なこと]少人数

かつて「少人数指導では学力は上がらない」という副題の本を書きました。(https://amzn.to/2w0QUJi)学力なんて簡単に上がります。ようはツボがどこかを分かったら。
30人学級二つを三つに分けて二十人学級になったら少人数指導になると思っている人がいるのが理解できません。30人でも、20人でも、10人でも個別指導は出来ません。せめて5人以下にしなければ。そして、5人以下にしても成績がそれほど上がらないことは、全国の僻地小規模校の実態が明らかにしています。
という、小学生でも分かる論理が、多くの人に理解されず、多くの予算が無駄にされていることに脱力感を感じます。
学力向上の最大のポイントは、本人が学力を上げたいと思うことです。でも、歴代の担任が「勉強しなさい」と言い続けても変わらなかった子に対して、もう一度、教師が言うより、同級生が「一緒に勉強しよう」と言う方が遙かに有効です。
■ [大事なこと]個別最適化

「公正に個別最適化された学びの実現」という言葉があります。でも、この言葉の主語は「学校」、「教師」だと普通の人は思ってしまう。違います。学習者です。
そもそも動的に変化する「公正に個別最適化された学び」を求める三十人の学習者を理解し調整することなんて神ならぬ人が出来るわけありません。
でも、分からないのだろうな。だから、いつのまにか学校にとって、教師にとって、公正に個別最適化された学びの実現になってしまう。学習者にとっては一律の学びの実現になる。いつまでたっても工業化社会の論理。
文部科学省の方、教育委員会の方、どうか「公正に個別最適化された学びの実現」を頑張らないでください。規制を解除し、ほっておいてください。