■ [大事なこと]基礎学力

基礎学力は必要だ、それがないと就職も出来ない、生きられない、と思うのが常識です。
しかし、私の知る限り、これこれは基礎学力であると明らかにした実証的な学術研究を知りません。
理論的に基礎学力の構造はこれこれであると示した学術研究はあります。ところが、たった一つの学会レベルであっても、会員が一致した理論的学術研究はありません。更に言えば、そこで示されるのは言葉であって、それを具体的に示す操作的定義を付けていません。
それは大著であるブルームの教育目標の分類学でも同じです。
ということで、一人一人の人が、バラバラなイメージの基礎学力を想定しているのです。その人達が集まって基礎学力を定めると、妥協策として、それらの人達のイメージしている基礎学力の総和を出し、学校の時間の中に詰め込めるだけ詰め込むしかないのです。だって、上記のように基礎学力とは何かを定める定義がないのですから。
ちなみに、私は基礎学力とは何かを示す実証的な研究はしていません。しかし、学校教育で学ぶものの多くは基礎学力ではないことを示す実証的な研究をしています。
西川純、新井郁男、熊谷光一、田部俊充、松本修(1997.8):生涯教育から見た各科教育、学校教育研究、12、日本学校教育学会、136-147
西川純、新井郁男、熊谷光一、田部俊充、松本修(1998.7):生涯教育から見た各科教育(その2)、学校教育研究、13、日本学校教育学会、124-136
この実証的なデータに比肩する、基礎的学力があることを示す学術研究を見たことはありません。私は思いつきではなく、データに基づいて基礎学力は0ベースで考えるべきだと思っています。
■ [嬉しい]どっちが先

何度も書いたことですが、一斉指導が出来ないと『学び合い』が出来ない、とか、教師と子どもとの縦糸を築けないと『学び合い』が出来ない、という常識論があります。
一部、 正しく、一部、間違っています。
確かに、一斉指導がうまい教師、縦糸が築ける教師が『学び合い』を実践するとすんなり実践できます。逆に、一斉指導が下手な教師が『学び合い』を実践すると最初苦戦します。なぜなら、一斉指導も『学び合い』も「子どもの煽て方・脅し方・いじくり方」が初期の段階は大事だから。でもね、それの賞味期限は最大3ヶ月。その後は、その教師が何を考えているか。集団の世論を決めるオピニオンリーダーはそこを見ている。
『学び合い』では「子どもの煽て方・脅し方・いじくり方」のテクニックが整理されている。何を考えるべきか、それは行動にどう表れるかが整理されている。だから、本を読み、その通り実践すればダレでも一定以上の成果を上げられる。だから、『学び合い』が出来ないと一斉指導が出来ない、縦糸は築けないと言う方が正確だと思います。