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2018-12-12

[]学び合う教室 07:03 学び合う教室 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 学び合う教室 - 西川純のメモ 学び合う教室 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 西川研究室に所属する学部生、大学院生は、必ず、今回再版する本を読みます。それは「なぜ、理科は難しいと言われるのか?」(https://amzn.to/2RZ2OwY)、「学び合う教室」(https://amzn.to/2LbsTqa)、「学び合いの仕組みと不思議」(https://amzn.to/2L9zr8V)、「静かに!を言わない授業」(https://amzn.to/2rvYtWA)、「座りなさい!を言わない授業」(https://amzn.to/2SOsD31)、「忙しい!を誰も言わない学校」(https://amzn.to/2LbmivP)、「勉強しなさい!を言わない授業」(https://amzn.to/2GdUGrn)、「気になる子の指導に悩むあなたへ」(https://amzn.to/2LahAi6)の8冊です。ここに書いた順序で読みます。これによって認知心理学的研究の結果として一斉指導の限界を明らかになってから、どんどん進化する『学び合い』の形成過程を追体験することが出来るのです。

 今日は「学び合う教室」(https://amzn.to/2LbsTqa)のさわりを紹介します。

 この本は『学び合い』に関する最初の本です。だから、今の先生方がグループ学習や班学習で知りたいと思っていることに近いものを明らかにしています。

 さて、私に最も影響を与えてくれた論文・本を一つ選べと言えば、私は石田の論文をあげます。

 私は大学院の頃から、何故、理科を学ぶのかを知りたかった。私が理科教師を目指していたから理科ですが、これは他の教科も同じです。もちろん、すべてのことは学んだ方がいい。しかし、万人すべからく学ぶべきだとは思えないのです。このことは高校教師の時に強く思いました。彼らは「純ちゃんなんで物理を学ぶの?」と聞きます。私が学部、大学院で学んだことで説明しますが、非常に単純な論理で論破されるのです。その業界で了解していることなんて、その業界以外の人にはせせら笑われるレベルです。大学に異動してからも調べ続けましたが、納得するものはありませんでした。そんな私が石田の研究に出会いました。石田の研究は文献研究ではありません。実証的研究です。その実証的研究によって、何のために学ぶのかが分かりました。これは、現在の『学び合い』の学校観の基礎となっています。これを本の最初に書きました。

 次には、実際の授業中の子どもたちの実態を明らかにしています。我々の研究手法は画期的な方法をしています。その方法は、子どもたちの会話をすべて記録するのです。それも3ヶ月以上。このような研究をする人はいません。だって、ものすごく手間がかかりますから。1校時の会話を聞くだけでも1校時かかります。分析するとしたら、その3倍はかかります。30人いれば、そのすべてを分析します。つまり、1校時の分析に100時間かかるのです。これを3ヶ月以上分析するのです。その大変さが分かりますよね。我々はそれをやっています。だから、1回、2回の記録を分析する研究、抽出児童に着目する研究では分からない子どもたちの実態を知っているのです。

 結論から言えば、子どもたちはよい関係を結んでいないのです。その実態を明らかにしています。同時に、子どもたちがよい関係を結んでいるときに彼らがする行動を詳細に説明しています。読めば、「なるほどね~」と思うでしょう。

 我々は「真面目な子」、「不真面目な子」という言葉を使います。つまり、その子の特性だと考えます。ところが違います。子どもたちは子ども集団という関係の中で「真面目な役」、「不真面目な役」を演じているのです。だから、本当に当たり前のことをちゃんとすれば全員が真面目に取り組みます。新規なことをしなくてもいい、当たり前のことをすればいい。ただし、「本当」に当たり前のことをすることが大事だということを書きました。

 私の研究者人生で天啓を受けたことはそう多くはありません。でも、確実に天啓を得たと思えるのは『学び合い』の原型になった先生の授業を分析したときです。まさに「我、発見せり!」と思いました。驚きと、感動で、泣きました。それも学生の前で。その先生は普通の先生です。何もしていないようにしか思えません。ところが子どもたちが学び合っているのです。私は理解できませんでした。なぜなら、教師が何らかのことをしていないのに、子どもが学び合っているからです。私のそれまでの考え方では、何らかの手立てをするから、子どもたちは学び合うのです。事実、世にある本では、様々な手立てが書いています。私は、学び合うことはホモサピエンスの本性であることを発見した過程を書きました。

 このことを理解すると手立てが全く違います。教師が注入するのではなく、子どもたちの中にあるものを引き出すという手立てになります。それが自己モニターという手法です。この自己モニターという手法は簡単です。だって15分間しかかかりません。ところが、それだけで子どもたちの行動が劇的に変わるのです。その手法と、子どもたちの変化を述べました。

 最後に、今後の研究の方向性を述べました。今から20年近く前に私が書いたことですが、その方向性は間違っていませんでした。

 ね、面白いでしょ!「学び合う教室」(https://amzn.to/2LbsTqa)という本は、『学び合い』の黎明期を知るための本です。そして、どのような過程で『学び合い』が生まれたかを知ることが出来ます。

[]補足 05:56 補足 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 補足 - 西川純のメモ 補足 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日の件ですが、誤解が無いように補足します。

 本の執筆は基本兼業では無いと思います。なぜなら、本務に差し障ると合理的に説明することは困難ですから。しかし、それを判断するためにも、「とりあえず兼業届を出してください」と言われるかもしれません。

 でも、「駄目だ」とは言われないと言うことを書きたかったのです。だから、基本、兼業届を出した方がいいと言うことです。胸を張って。

 まあ、小役人が自分の思いつきで「収入が発生したら駄目」と言ったら、条項をお見せくださいと言えばいいと思います。勤務時間外の兼業を禁止することは出来ますが、本務に支障があることを合理的に説明できなければ、それは違法です。とういことは、条例を作る人はよく知っていますから、そんな条項はありません。