■ [大事なこと]夢
トヨタ自動車の代表取締役社長・豊田章男氏が母校であるアメリカのバブソン大学にて行ったスピーチが話題になっているので聞きました。最初は単純に楽しんで聞いていました。しかし、やがて悲しくなりました。「私はこのスピーチのように、これから学校に勤める若者に夢を語れるだろうか?」と自問しました。そして、そうできない自分が悲しくなりました。なんとかせねば!と思います。
■ [大事なこと]意識
私が卒論のテーマを何にするかを考えていたときです。そのとき、数学のカタストロフィ理論の本が出回り始めた頃です。その中には、カタストロフィ理論を生物の発生学に応用する本もありました。凄くかっこよいと思い、それをテーマにしようと思い、指導教官の石坂先生に相談すると、「目新しいものに惑わされては駄目だよ」とたしなめられました。ちなみにカタストロフィ理論が生物学に影響しなかったと思います。石坂先生の言は正しかった。
教育改革におけるICTの位置づけが、それに重なって仕方がないのです。
インターネットの基本設計は初期の段階に形作られました。それは大学研究者の情報共有に使われていました。しかし、世の中に影響を与えてはいませんでした。それが広がったのは、インターネット上に「エロ画像・動画」がアップされ、共有されることによってです。さらに、携帯電話がその端末となり、様々なアプリが生まれてからインターネットが世の中に影響を与え始めました。
今、教育改革のICTのユーザーは学校です。それも先進的な学校です。これでは市場は小さすぎます。これでは世の中を変えられません。では、どうしたらいいか?顧客を子どもや保護者にすべきなのです。そうなることに障害となるには何でしょうか?それは、自分たちがコントロール出来ないサービスを子どもが使うことに対する教師の抵抗感です。ま、スマホを学校に持ち込むことを許す程度のことがニュースになるのが日本の現状です。
重要なのはICTではありません。子どもを抱え込んでコントロールしたがる、非個別最適化の意識の改革です。それさえあれば、キラキラしたICTの技術は不要です。だって、世の中には無料で使い勝手のいいサービスは世にあふれているのですから。
■ [う~ん]脱法
新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)が文部科学省から6月25日に発表されました。読んで、ビックリしました。文部科学省の文章の中に、明らかな「脱法」が書かれているのです。働き方改革の道は残念ながら遠い。文部科学省の人が法を理解していないのかと思ってしまいます。
例えば、本文7頁に「パソコンに共有された情報を確認すると、子供の登下校の状況等の校内情報はもちろん、通学路の安全情報等の地域の情報や、校長からの指示事項や担当からの留意事項も画面でリアルタイムに共有されている。」とあります。
「教師がブラック残業から賢く身を守る方法」(https://amzn.to/2JcSD4T)の40から43頁に書きましたが、登下校の見守りは教師の本務ではありません。さらに登下校の時間は勤務時間ではありません。とうことは、それを求めるのは脱法です。さらに文部科学省自身が定めた超勤4項目に反します。(ちなみに、この本は弁護士にチェックを受けています)
私の大学院の指導教官は文部省の役人でした。その先生より、本省の役人は法を熟知し、それに対して慎重で繊細であると教えてもらいました。少なくとも、今までの文部科学省の文章はそうでした。しかし、この文章は荒すぎる。
■ [大事なこと]影響力
人は何によって納得するか?それは理屈ではありません。周りの人がやっていると、それが正しいと思うようになっています。これは群れる生物であるホモサピエンスの叡智だと思います。ただ、周りの人がやっていると判断する基準は、人それぞれです。周りの人の数人がやっているだけで納得する人や、周りの人の少なからず人がやると納得する人、周りの人の半数がやると納得する人、周りの人の殆どがやると納得する人、周りの人が殆どやっても納得しない人がいます。また、周りの人がどのような立場の人であるかによって影響力は異なります。
霞ヶ関の本省の課長が、幼い我が子を抱きながら仕事をしている写真がSNSでアップされました。これには膝をたたきました。これって、その省の働き方改革の提言より影響力があるのではないかと思いました。
城山三郎の「官僚たちの夏」(https://amzn.to/2RFxzYI)は私の大好きな小説の一つです。そこには志の高い官僚達の群像が描かれています。しかし、その小説には私生活の幸せは描かれていなかった。時代は変わった。いや、変えようとしている。