■ [大事なこと]キャリア教育
本日のゼミで学部時代からのゼミ生が「なんで教師を目指しているのかわからない」と言いました。教師の素晴らしさは耳たこになるほど語っているゼミ生です。だから、以下のように語りました。
『そりゃ、おまえがなれる職業だからだよ。今のキャリア教育では、自分の好きなもの、得意なものを自覚させ、その中でなりたい職業を探している。でも、そんなの、どうでもいい。そんなことしても、なりたい職業が、なれない職業だったら不幸。職業に貴賎はない。ただ、自分の職業に対してどう思うかは人それぞれ。大事なのは正解を探すことではなく、正解を生み出すことだ。今のおまえがなろうとする、そしてなれる職業は教師だろ?だったら、それを天職にすればいい。』
という憎まれ口を言いました。
■ [映画]天気の子
ゼミ生からバラバラと「先生は何故、天気の子が納得いかないのですか?」と聞かれます。おそらく、それを疑問に思っている方もおられると思うので書きます。
第一の理由は、テレビでの宣伝と映画にギャップがありすぎます。宣伝を見ている限り、単純に明るい青春映画としか見えません。でしょ?ところが、主人公の一人は家出をして宿もなく、ピストルを拾って暴発させるのです。もう一人の主人公は両親を亡くし、年齢を偽り働いて弟を育てるのです。これって、単純に明るい青春ですか?
もし、映画の内容に対応した描写が宣伝にあればと思います。おそらく、我が夫婦は見に行かなかったと思います。それ故に、「詐欺」と感じるのです。
第二の理由は、無神経すぎます。一人の少女が現世に戻るために払った代償は、止まない雨、そのために都市部が海中に没したのです。さて、これだけの天変地異があったとしたら、どれほどの人が死ぬでしょう。
水没したとしたら、海水面が10m以上上昇したのでしょう。つまり、世界の大都市の多くは水没したでしょう。モルディブのような国はなくなったでしょう。それだけの水が地表面から奪われたのです。地球的に見れば、壊滅的な砂漠化が起こったのでしょう。農業は大打撃を受け、食糧不足になります。短時間でこの変化が起こったとしたら、世界各地で紛争が起こり多くの人が死んだでしょう。経験したことの無い病気が蔓延したでしょう。
さて、どれほどの人の命が奪われたと思いますか?ざっと考えても数十億の人になると思います。中世のペストの蔓延を上回る厄災です。
ところが、映画ではそれが無い。
考えてみて下さい。福島原発の事故が、一人の職員がある女性と結ばれるために起こったとします。そして、その事は知られず、二人は幸せに生活したとします。これってハッピーエンドですか?
おそらく、私と質問したゼミ生との違いは、都心が水没した映像を見たとき、大災害を(人災)を思い浮かべたか、いなかったかの違いだと思います。新海誠監督は自分の映像が何を意味しているか想像できなかったのでしょうね。私は理系人間です。私は理系人間です。もっと、問題なのはこのレベルのことを気づけない人が一人もいないと言うことはありえません。ようは、それを言えなかった、もしくは、聞かなかったでしょう。新海監督は賢い人です。後者はなかったと思います。