■ [大事なこと]レッドカード
今までの授業では、教師は学び方を指定します。一方、『学び合い』では学び方は子どもに任せる一方、何故学ぶのか、何を達成しなければならないかを語ります。今までの授業でほとんどなされていないことを大事にします。だから、多くの教師用図書はknow-howで占められています。一方、私の本では、know-whyに多くの紙面を費やしています。
アクティブ・ラーニングに関して私は多くの本を書きました。そこで一貫して書いているのは、経済・産業界が「使える人材」を欲しており、教育再生実行会議を通じて、学校現場にレッドカードを出したことを書きました。結果として、小中高が手を出せない大学入試制度という禁じ手に手を出し、学習指導要領に教育方法の指定を書くことを求めたのです。
英語民間試験の導入に対して変化を嫌う学校現場が反対するのは当然です。これこれがダメだという意見は様々合っても、結局、慣れ親しんだものを捨てることを嫌がるのは人の性ですから。ただ、それに対して文部科学省が毅然とした態度を出し切れず迷走していることが問題です。結局、与党内からもの延期の意見が出るようになりました。これを見ると、次は学校現場ではなく、文部科学省・学校教育制度にレッドカードを出すのは時間の問題のように思います。数年前に、ある方より、人材養成は経済産業省の所轄になり、文部科学省はその下部組織になると言われたとき、腰を抜かしましたが、さもありなんと思うようになりました。経済産業省が所掌するかはわかりませんが、人材養成を学校教育で完結するのではなく就職と一体にならねばならないのは確かです。
では、経済産業界が文部科学省にレッドカードを出したならどんなことが起こるでしょうか?おそらく、学歴の価値を捨てるでしょう(https://www.businessinsider.jp/post-188929?fbclid=IwAR3XgbzTejcd8rHOkuwxfn0t-aYcAKqFo52jZ6shchWSdyd5ZQ411R4dqcA)。今後、日本の企業も導入するところが増えるでしょう。大卒資格を求めないといっても、大卒を排除するわけではないのですから。ようはフィルタリングの問題です。だったら、フィルタリングを資格とか実務経験で行えばいい。ようは終身雇用でない社会、つまり日本以外の就褥で行っていることを導入すればいい。これを穏やかに行うには、中途採用の割合を上げていく方法が考えられます。
学歴を信じて進学したが学歴が投資に見合ってないことを知ってしまう若者の苦労に比べれば、民間試験の地域差の問題なんて、小さなもののように思います。
追伸 本当だったら大学が、その学歴に見合ったと経済産業界が判断する能力を与えれば、欧米のように学歴に価値を維持することも出来るでしょう。ところが日本ではそれが不可能です。何故なら、文部科学省が護送船団方式で大学を守ろうとしているからです。卒業生の質を維持するためには、入学者の中で一定数は落第させる必要があります。ところが大学の学部に関して定員を厳格に維持することを文部科学省は求め、それが守れないと予算の大幅な減額がなされます。結果として大学は経営上から落第させられなくなってしまう。結果として、高校段階の学力保証は出来るが、卒業生の質保証が出来ないのです。
■ [お誘い]大地の会
12月22日に大阪で『学び合い』の会が開かれます。お誘いします。https://www.facebook.com/events/749986325464796/