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現実的

以下の文章は、デ・ラ・ロッチャの本(de la Rocha,O. 1981 Field notes. School of Social Sciences, University of California Irvine.)に紹介されているものです。お読みください。

 

 一人の文化人類学者がカリフォルニアの一都市で、減量のためダイエット中の人たちがどんな風に計算しているか観察した。彼女の最大の発見は概算で正しい答えを出す方法をだれでも適当に編み出して使っている、ということだった。この適当に編み出された方法そのものが”状況に結びついた知識”であることがいうまでもない。

 彼女はこの人たちが本当に必要なときどう計算するかをしりたかったので、被験者の一人に、”このパンの上に、このカッテージチーズを正確に2/3カップの3/4だけぬってください”という質問をしてみた。彼はしばらく考えた末、チーズを計量カップで正確に2/3カップ量り、それをパンの上にきれいな一定の厚さの円形にぬり、それに指で十字を書いて1/4を取り捨てた。

 

 さて、この文章の中に奇妙な部分があります。それに気づけましたか?もう一度、見直してください。分からなかったら下を見てください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づけましたか?

 2/3カップの3/4なのですから、1/2カップを計量すればいいのです。ところがダイエットという文脈では、こんな簡単な計算も出来なくなってしまうのです。

 本日の番組では丸くまとめられたコードの束が多数ある中で、20mのコードを選ぶ方法は学校の勉強が役になるというものが紹介されていました。それによれば直径×3.14×巻き数で計算できるとのことでした。これには苦笑しました。そんな方法使う人はありません。短いコードは使えませんが、必要以上に長いコードは使えます。だから、現場で邪魔になりそうにならない程度の、どう見ても20m以上あるコードを選べばいいのです。電気工事の文脈に数学を持ち込めば不自然になります。算数の問題の中に「5個の飴を二人で分けると何個ですか?」という問題があります。算数の答えは2.5個ですが、実際は状況に合わせて3個と2個に分けるのがリアルです。

 文脈依存的な知識と脱文脈した知識、どちらが有効でしょうか?