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ICTの普及

昨日、「ICTの普及によって教育格差が縮まるか?」と聞かれました。何故、教育格差が縮まる理由は、ネットの普及によって教材の単価は安くなり、貧しい世帯も教育を受けられるからです。代表的な例はカーンアカデミーですね。

 私は「ICTの普及によって低所得者が質の高い教育を得られることは確かだけど、それは限定的で、むしろ格差が拡大すると思う」と言ったらビックリされていました。皆さんもビックリしましたか?ちょっと説明します。以下は、我が国を念頭に浮かべての話しで、発展途上国の場合と違うことをご理解下さい。

 一人一台のICTが配られたとします。さて、先生方はそれを活用すると思いますか?いいえ使いません。多くの先生方にとっては慣れ親しんだトーク&チョークの授業が「楽」なのです。各学校に配られた電子黒板がどうなったか思い出して下さい。

何らかの事故があったときの責任を取りたくない行政は、インターネットとの接続を制限します。結果として、インターネットに接続できない、高速学内ネットワークとなるのです。

 これは親方日の丸の公立学校では顕著でしょう。

 しかし一方で、それを徹底的に活用する私立学校は一部あるでしょう。代表的なのは広域通信制の高校及びフリースクールです。結果として、公立学校とICTを活用する学校との格差が増大するのです。

 続けて、カーンアカデミーを念頭に置いていることを指摘し、いかにも工業化社会のコードに支配されていることを述べました。フラット化する世界(https://amzn.to/2GfquMA)を読めば分かりますが、ネットでやりとりできる情報はどんどん広域になり、安価になります。ただし、その情報が多くの人のニーズにフィットする場合のみです。多くの人が顧客となれば、多売薄利が成り立ちます。しかし、個別最適化した情報は安くなりません。

 たしかに今の日本の教育は工業化社会のコードに支配され、規格化されています。だから、多売薄利になるでしょう。しかし、その子ども達が学校を卒業して就職する社会は脱工業化社会に急激に移行しています。このギャップによって、いま、多数の若年者の非正規雇用を量産しているのです。だから、日本の教育はジョブ型、それも個別最適化したジョブ型にならなければならない。

 例えば、寿司職人になりたいと思う子どもには、そのための教育を出来るだけ早く受けることが必要なのです。寿司職人レベルだったらネット教材は可能かもしれません。しかし、鬼瓦の職人レベルだとネット教材作成は労多くして益少ない。では、どうしたらいいか?それは実際の職場と繋いだデュアルシステムの教育を構築すべきです。

 日本の教育がそのレベルの改革を出来るのはいつのことかは分かりませんが、教育を考えるとき、工業化社会のコードと脱工業化社会のコードのそれぞれで読み解けるべきだと思います。