録画していたNHKの萩尾望都の特集がありました。フィナーレは「ポーの一族」です。全て覚えている。そして、遅ればせながら、20年ぶりに再連載が始まったことを知りました。思わず涙が流れました。
私がこの本を読んだ状況を良く覚えています。帰省先の私の部屋でクラシック音楽を聴きながら全五冊を一気に読みました。最終章を読んでいるときは、ブラームスの交響曲第三番第三楽章でした。鳥肌が立つのが分かりました。ファウストではないですが「時よ止まれ、お前は美しい」と言いたくなりました。第四楽章を聞く事は出来ず10分間以上、呆然としました。あの感覚を思い出しました。
大学院に入ってから、小学校高学年からのめり込んだものの多くを封印しました。禁煙と同じです。禁煙当初は渇望感に襲われますが、数年でそれが無くなります。一本でも吸えば復活するのが恐ろしいので、約40年間封印し続けました。でも、私の中に、あの感覚の喜びがまだ残っていることを今は喜びます。もう少し、封印します。
私には十二分に本と音楽の電子ファイルがあります。お金をかけずに、老後を豊かに出来る術があります。