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ライブ

 コロナで激減していますが、以前は毎度あったことです。

それは、ライブは一番です。

 以前は、日本各地に出張しました。また、上越にもおいでいただきました。そして徹底的に語ります。そうすると「本で書いてあることが分かりました」と言われます。もちろん私が語るのは本に書いていることと同じです。おそらく一言一句違わないと思います。それは物理の問題を解いた解答用紙と同じです。

 私が一生涯に出会った人の中で、授業のうまさで言えば、高校1年で教えてもらった宮澤先生がダントツです。これはこの業界に入ってから聞いた数多くの名人教師と比較してもそうです。面白いことを言うわけではないのですが、いつの間にか引き込まれ、気づくとチャイムなのです。

 カリスマ性は皆無です。

 身長は160cm代で、40代なのですが頭は交代しています。ニコニコしながら一生懸命に話すのです。話の最初は庭でつくったトウモロコシの話なのですが、いつの間にかアフリカのレアメタルの話で終わるのです。不思議に思った私はどこで話が変わるのかを見極めようと思いました。だめでした。いつの間にか話に引き込まれて忘れてしまうのです。

 私が教員採用試験に合格したとき、宮澤先生に会いました。教師になる前に何を学ぶべきかを聞きました。宮澤先生は落語を聞くことを勧めました。宮澤先生は新任の時、上野の高校に勤めました。そして、頻繁に寄席に通ったそうです。

 それから40年弱、私は落語を通勤で聞いています。声の出し方、間の取り方。名人上手の技を理解するレベルには至っていません。しかし、徐々に分かったことがあります。同じことを語っても、名人と前座・二つ目とは全く違います。何故なんだろうと不思議で仕方がありませんでした。

 十数年前ぐらいから分かりました。前座・二つ目は演目を語っているのです。名人は自分を語っているのです。二百年前の誰かになりきって語っているのです。そして、他人に対しての愛がある。だから、聞き手が安心して聞けるのです。

 だから、講演の奥義は、本心で語る、だと思います。それ以来、細かな講演の流れを決めません。1時間半の講演は手に書いた4行の言葉で語っています。より多くの人を満足させるならば、笑いの要素を多くしてエンターテイメントに組み立てる方が良いことは分かっています。でも。分かってくれる人に対して失礼という気持ちが多くなっています。

 ま、この年になれば、多少、我が儘になっても良いのかも、と思います。

 私と話そうとするために、金と時間を費やそうとする人が、それなりに本を読んでいます。その人達の質問に対して「それって全員に有効?」、「それって子どもの人生に意味がある?」と質問します。最初はきょとんとします。しかし、話を積み上げる中で、『学び合い』は考え方であることがだんだん分かります。

 本は有効なツールです。でも、短期間で学ぶとしたら口伝が一番です。その口伝が伝わるか否かは、語っている人が本気で信じているか、否かです。