かなり前の話です。40歳代のOBが県を退職し、自宅から200Km離れた私立学校に就職することを聞きました。私には理解できないので理由を聞くと、出世コースに乗りそうだからとのことです。当時の私には理解不能でした。
各地区ごとから県庁に勤めるラインに乗る人を選抜しているそうです。そのラインに乗ると、自宅から通えない遠方の地域を勤務地として、最後は地元の中心校の校長になります。仕事は激務で土日も忙しい。それだったら200km離れても土日は家族と会える方が「まし」とのことです。
それを聞いて、彼の退職を祝福しました。
それにしても、家庭をないがしろにし、滅私奉公を求める職場であれば、今後はさらに有能な人材を確保することが困難になるでしょう。
苦労した人は優しくなれると言います。それは嘘です。苦労したから、おまえにはそうさせないよという人がいる一方、俺も苦労したからお前もという人がいます。彼が捨てた出世コースに乗った人が、このシステムを変える権力を持っているはずなのです。