私は講演会で自分に課している二つのルールがあります。
第一は、マイクを使わず地声でやる。これは大ホールでも同じです。ただし、「今日は声のテクニックを使わず、しっとりとやろう」と思ったときはマイクを使います。
一方、第二のルールは絶対です。それは時間を守ることです。その時間は私が決めません。相手方が2時間といえば、2時間。1時間と言えば、1時間。15分と言えば、15分。5分と言えば5分。私も教師なのですから、時間に合わせて話を組み立てることは当然です。
私はゼミ生を「叱る」ことは希です。でも、「叱る」場合は希にあります。その多くは与えられた時間を超えて発表する場合です。その時は、時間は全ての人にとって大事なものだから、それを尊重しなければならないことを諭します。いつもはニコニコしている私が真面目に諭すのですから、ゼミ生にとっては怒鳴られているような印象なのでしょう。だから、ゼミ生は時間を守ります。
時間を守れないのは、ようは聞き手の都合を考えず、自分の都合ばかりだからです。そんな自分の都合でしゃべっているものに内容はありません。今までの人生において、時間を超えてしゃべった講演、学会発表に実があったことはただの一回もありません。まあ、当たり前です。ようは酔っ払いのくだ話なんです。もし、本当に話したいことがあるならば吟味し、精選し、時間を計って、予定に組み込んでいるはずです。ところが、それをせず、その時の気持ちのままに話すならば、それは酔っ払いのくだ話と同じです。
国家的行事で、それがなされたならば、残念です。
追伸 私が講演の時間を守れなくなったら、教えて下さい。引くときです。