家内と晩酌しているとき、戸北先生のことが話題になりました。私が大学に勤めてから二十年以上お仕えした先輩であり、上司です。
毎日、2時間以上は話しました。その殆どは私の愚痴・苦言です。聞いてくれました。家内の実家で舅・姑に会うときに片道3時間つきあってくれました。帰りは舅殿とベロンベロンになってしまった私を高田まで送ってくれました。新婚旅行の時、飛行機で北海道に移動しましたが、私の車をフェリーに乗せてくれたのも戸北先生です。私より18歳も年上で、私は助手で戸北先生は教授です。どうかんがえても、クレージーです。日本全国の教授・准教授の関係は様々です。でも、我々の関係の確固たるものであることは、私の業界では確固たるものです。
戸北先生がお亡くなりになる時を共有しました。四十台の私は、赤子のように泣きました。
胸を張って言えます。私は戸北先生の悪口を言ったことはありません。苦言は言いましたが、それは二人の中で、直接言います。でも、これは私がお仕えした全ての上司も同じです。
この年になると直属の上司というものがいなくなります。
となると、私は生涯にわたって上司の悪口を言わずに退職できる。なんと幸せなんだろう。