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原因

 「自分の考えを持たなくなる」という理由で子ども同士の交流の制限をかける教師がいます。交流するにせよ、最初の何分間は交流を制限します。悪いですが、本質が分かっていないと思います。

 考えてみて下さい。交流したとたんに何も考えず、人の答えを丸写しにするような子は、交流を制限されたら考えるでしょうか?考えません。結局、教師が板書する答えを丸写しします。

 自分で考えるような子を思い浮かべて下さい。5分で自分の考えを持てる子どももいれば、3分の子も、10分の子もいます。そして、教師が何を求めているかを最初から分かっている子、つまり0分の子もいます。さて、最初に自分で考える時間は何分にしたらいいでしょうか?

仮に5分にしましょう。その場合、0分の子どもにとって5分の無駄。3分の子どもにとって2分の無駄。そして、10分の子どもは自分の考えを持てないのですから5分の無駄です。では、何分にしたらいいでしょうか?一律の答えはありません。

子ども達が自分の考えを持たず丸写しする原因は交流ではありません。原因は、丸写しではダメで、自分の考えを持つことは大事なことで、自分の考えを持ちたいと思うことです。そこが成り立っていなければ、交流制限に意味はありません。

 そもそも何故、丸写しをしている子どもがいるのでしょうか?それは今の授業で丸写しが勉強であると教師が教え込んでいるからです。意外ですか?丸写しをするような子の気持ちを考えてみて下さい。その子にとって授業は分かりません。しかし、最後にまとめとして教師が板書で書いたものをノートに写すことが勉強なのです。『学び合い』を導入した初期段階で、私の目の前で丸写しをする子は容易く見いだせます。だって、隠そうとしていないから。堂々と「答え何?写させて」と言っているのです。その子にとっては、教師の板書を写すのと同じように正当な勉強をしていると思っているから、隠そうとしていないのです。

 『学び合い』ではそのような行動は速やかに無くなります。

 何故でしょうか?

 丸写しではダメで、自分の考えを持つことは大事なことであるという本質をちゃんと語っているからです。まあ、従来指導型においても、それをやっている方はおられるでしょう。でも、これだけでは不十分なのです。何故かと言えば、先に述べたように組織的に丸写しが勉強をすり込まれている「丸写しをする子」は理解出来ないからです。

 問題となっている子どもを動かそうとするな、無駄だから、その代わりにクラスをリードする子を動かせ、が『学び合い』のセオリーです。丸写しをする子どもは理解出来なくとも、写さしている子どもは理解しています。その子が『学び合い』で全員が本当に分かることが重要であることを理解すれば、安易に写させません。その子が丸写しはダメで、自分の考えを持つべきだと言うでしょう。そして、分からない子どもと会話を通して、その子どもの考えを生み出す援助をします。

 そのような文化が形成されると、従前は丸写しをしていた子どもに変化が現れます。

 同級生から説明を聞き、会話をしていると、突然、「う~ん」という考え込む表情になります。そして、「一寸待って、分かりそうだから、自分で考える」と言うのです。その時間は1分の場合もあれば、3分の場合もあれば、5分の場合もあれば、10分の場合もあります。交流を許され、方法の自由度のある『学び合い』だから出来ることです。

 さて、ここまで読めば、交流を制限することの浅はかさがお分かりになったと思います。