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話術

 私の講演をお聞きになった方だったらお分かりと思いますが、私は一斉指導が上手いです。大講義室で講義すると、最後には拍手が自然発生するほどです。これは暴走族がいっぱいいるクラスで物理の授業を成立させるために、生き残るために磨いた技です。

 自分と比較するのはおこがましいですが、イチロー選手の「僕は天才ではありません。なぜかというと自分が、どうしてヒットを打てるかを説明できるからです。」という言葉がよく分かります。

 この言葉には「天才でないヒットを打てる人が何故打てるかを説明できる」という意味もあると思います。

 私の所属する組織のメンバーは全て授業名人です。他大学から入学した院生は「上越教育大学の先生方はみんな授業が凄い」とビックリします。やがて、それは自分の所属するコースの先生方が飛び抜けていて、その先生方の授業を主に聞いているからであることに気づきます。

 私の見るところ、殆どの方は天才タイプです。その方の人柄、性格、そしてなによりも才能によって創り上げた話術です。なぜ天才タイプであると判断できるかと言えば、「どうしてヒットを打てるか説明できない」からです。この人達の話術は惚れ惚れしますが、まねたくてもまねられません。

 よくゼミ生達にこの種の話をするとき「このコースで私に最も近いタイプの先生は誰だと思う?」と質問します。まあ、答えられません。赤坂さんです。何故、そう思うか?それは、赤坂さんの講義や講演を聴いていると、次にやることが分かるからです。特に、急に話すことを振られたときの行動が笑っちゃうほど私と同じなのです。さりげないので他の人は気づかないと思うのですが、微妙の仕草で何をやっているかが分かります。

 彼も私と同じタイプのコミュニケーション障害なのでしょう。何らかの危機的状況の中で後天的に話術を獲得した。ところが凡夫が一定以上の話術を獲得するために道筋は限られています。非常にシンプルなことを徹底するしかありません。だから、分かるのです。

 凡夫のいいところは、人にヒットの打ち方を教えられる点です。ただし、教育実習前にちょこっと教える程度で、ゼミ生に教えることは殆どありません。何故なら、話術は話術に過ぎないからです。一発勝負の講演では重宝しますが、年間を通して接する授業では話術ではなく、考え方で子ども集団は教師を判断しますから。

 イチロー選手の言葉を思い出して、書きたくなりました。