株価には必ず調整局面というものがあります。実態から離れた高値が続けば、一気に値を下げ、適正な価格を市場が探ります。その中で実態のない企業は退場します。
日本の学校教育は基本的に一度も調整局面を経験していません。
しかし、公立高校の場合は5年以内に調整局面が来ます。それはさらに5年以内に公立の義務教育に波及するでしょう。そのきっかけは広域通信制やフリースクールだと思っています。
では、大学はどうでしょうか?
少なくない大学が定員割れをしています。それらは偏差値序列の低い大学に集中しています。受験生の数が少なくなれば、自分の偏差値では入れなかった学校には入れるようになれば、低い偏差値の大学の定員が割れるのは当然でしょう。この変化は18歳年齢によっておおよそ予想することが出来ます。
しかし、そう遠くない時期に、もっとドラスティックな変化があるのではないかと思っています。それは企業の採用が変わるために起こる変化です。そもそも日本の雇用慣習は異常です。労働基準法などの労働法も先進国の中で異常です。企業としては直ぐに変えたいと願っています。いや1990年からハッキリとそれを表明しています。彼らが求めている本丸は終身雇用制とメンバーシップ型契約のやめることです。
例えば、トヨタのような人気企業が5年間契約の採用にしたとします。こうなれば人材を育てている大学とそうでない大学の差は歴然となります。
メンバーシップ型からジョブ型に変われば、当然、一括採用はなくなります。新卒でジョブ型採用される大学とそうでない大学の差は歴然となります。いわゆるつぶしのきく学部は淘汰され、残るのは研究者養成を担っている旧帝国大学あたりになるかもしれません。
大学の教師として暗くなります。しかし、人口の減る日本が成長する鍵は、先進国最低と言われる一人当たりの生産性を上げるしかないと思います。なにしろ伸びしろが半端ないのですから。そのためには労働市場の流動性を高め、ジョブ型労働によって生産性を高めるべきだと思うのです。から、この調整局面が無い限り日本に未来が無いと思います。
追伸 補足ですが単純なジョブ型労働は工業化社会の労働です。一人一人が互いの専門を利用できる、トランザクティブメモリーを共有するジョブ型労働です。
追伸2 経済産業省はGIGAを推進するより、雇用形態の改革に手をつければ、直接的に日本の教育を変えられるのに、と思っちゃいます。