思い出します。3月の中旬、7年間お世話になった筑波を出発する前後を。下宿の整理をし終わって、外に出るとひんやりとします。下宿の前には広大な畑。だから、土の匂いがします。
朝になって、荷造りをし終わってくるまで出発。私の下宿は大学の直ぐ近くです。出発する前に、大学の校内を一周しました。そして、途中で止まり、車をおりて深呼吸をしました。明らかに冬の空気と違って春の香りです。
不安がありましたが、それ以上に期待がありました。だって、不安を理解するほどの現場経験は無いですから。
そして、「ありがとう」と心に思って、大学を出発し、一気に東京に行きました。
40年弱たちますが、その記憶は鮮明です。それは「匂い」があるからです。人間の脳の最も基本的な部分は両生類・は虫類の時代に形成された「匂い」を司る部分です。
最近のゼミ生は自分の気持ちをSNSで発信している子がいます。読んでいると、そうだよな、そうだよな、と思います。
これを読んでいる、今、卒業・修了する諸君に対して、おじさんのアドバイス。
- 下宿の写真を撮りまくりなさい。今はどうでもいいかもしれませんが、あなたが60歳ぐらいになったら、一枚、1万円の価値があります。だって、私はあのこきたない下宿の写真を売ってくれるとしたら1万円は喜んで出します。私のおぼろげな映像に答えるものがあるならば。
- 仲間の動画を撮りまくりましょう。おそらく、その人と会えないだろうし、あえても、おじさん・おばさんになっています。なんでもいいのです。写しましょう。
- そして、早朝と、夜と、それ以外で、下宿と近くで深呼吸をしましょう。ゼミ室があれば、そこで深呼吸をしましょう。匂いを嗅ぎましょう。
- もし、心に響く人があれば、その人の匂いを嗅ぎましょう。
これが価格0円で、私の年になったらお金を払っても、と思うことです。
私が学生時代に悔いるのは、個性的でいいやつばかりだった同級生と関わらなかったことです。ですが、卒業・修了直前として書きました。もっと若い方なら、多様で多数のつながりを持って欲しい。