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牛乳

 本日のニュースで酪農家のご苦労の特集がありました。視聴してムカムカしてきました。ただし、そこに写された酪農家の方々や、専門家の方を個人的に非難するつもりはありません。そこには写されなかった様々なご事情があったと思います。様々な事情の中で、どれを切り出して、編集するかは放送局ですから。でも放送局も非難できません。市場占有者なのですから、大多数の人が受け入れられる常識に沿って編集しますから。だからムカムカしているのは今の社会です。

 ニュースの内容は簡単に言えば、以下の通りです。

 今、円高によってえさ代、燃料費は上がっているのに、価格は据え置かれています。牛乳業者に単価の増加を交渉したが、満たされず酪農家も受け入れざるをえなかった。理由は消費の落ち込む中、過剰な牛乳は日持ちするバターや脱脂粉乳に加工しているのです。つまり、生産調整を牛乳業者にお任せしているのです。だから、これ以上値上げしたら在庫をさばききれないと言われると受け入れざるをえなかったのです。ある酪農家は、1億円を借りて設備を整備しため、その返済の圧力が加わっているのです。

 番組では専門家は補助金によって対応すべきだと言っていました。農家の方は、消費者の皆さんももっと消費して下さいと言っていました。

 同情できるし、妥当な内容のように見えます。しかし、ムカムカするのです。

 第一に、自助努力が見えない。やっているのは比較的安い餌を探す程度です。本質的な解決策を模索していない。

 第二に、人口が減少、特に子どもの数が減るのですから「今」の市場が減少するのですから、「今」市場から退場する人がいるべきなのです。その中で、何故、「今」の市場に1億円を借り入れるのか私には分かりません。

 見事に工業化社会の規格化の罠にはまっています。

 どうしたらいいか?

 まず、一斉に廃業されてはいけないので、一定の補助は必要でしょう。しかし、段階的に削減するのです。つまり、廃業へのソフトランディングの時間を与えます。

 次に、酪農家は個性化によって「未来」の市場を切り開くことを補助します。例えば、ホルスタイン以外の乳製品を必要とする店と提携して、ホルスタイン以外の牛を育てる。また、乳製品を加工して売るなどです。当然、護送船団方式の現在の価格決定の枠組みの外に出るのです。

 その中で、穏やかに「今」の市場をダウンサイジングするならば、適切な価格とそれでなりたつ酪農家がセレクトされるでしょう。

 食料安保論に関しての私の考えです。上記の話題が出ると、必ず食糧安保論が出されます。

 済みませんが、馬鹿馬鹿しいと思います。国土の殆どを山地が占めている我が国が本当に食料を自給しようとするならば、鎖国だった江戸時代の人口(約3000万人)まで減少しなければならないでしょう。集約的な食料生産量の増加も、肉食化で相殺されると思います。ほぼ自給率100%の米が安定して供給できたかと言えば、1993年のタイ米騒動を思い出して下さい。

 つまり、不可能なのです。だから、食料安保を実現するならば、供給先の多様化と外交に依存すべきです。

 では、どれだけが国産で、どれだけが輸入かは、国民が決めればいい。我が家は基本、国産をたべます。某国の食品は半額以下でも絶対に買いません。一方、信頼できる国の食品は選択的に利用します。我が家が国産を選ぶか外国産を選ぶかを国に決めて欲しくない。

 以上、素人の野人の遠吠えです。

追伸 農家の方々には不愉快かもしれません。しかし、みんなが一律にしようとし続ければ、みんなが一律に沈みます。それより、多様化する道を選ぶ方が、より多くの人が活躍できると思います。今、農家を廃業する人が増加しています。農家を嗣ぎたいと言う人が生まれるような環境は「今」の市場ではないことはたしかです。