文部科学省は、教員を養成する大学に教授などとして、小中高校長OBや現職教員を一定割合以上、配置するよう義務付ける方針を決めたというニュースが流れました(https://news.yahoo.co.jp/articles/1236935c226c75847141dee05409a568933bec04?fbclid=IwAR0sT8qWGdzEXLNEJ_mQJ5tB-c5qDeYNZwaIPho5D_NrIj6u4-Kxa6mhhJ0)。これに関して、いかに馬鹿馬鹿しいかをメモに書きましたが、別の視点で解説したいと思います。
このニュースを読めば、「お~2割以上か」と思われるかもしれません。実態は全く違ったものになると思います。これから具体の法が決まるので、私の以下で書くことは間違っているかもしれません。ただ、いままでの文部科学省の「やり方」を長年見ていて、やりとりした経験から予想されることを書きます。
文部科学省がこの種のことを言った場合、実現できると計算した上です。アクティブ・ラーニングや入試改革の場合、その言葉の意味することの解釈が入るのでいくらでもごまかしが出来ますが、数値のごまかしは出来ません。実務経験者はいかなるものであるかは、既に明確にしていますので、それもごまかしが出来ません。もし、2割以上にすると言って実現できなかったら責任を問われるのです。役人はそれを嫌がります。つまり、大多数の大学では、その数値を既にクリアーしていることを知っているのです。
でも、皆さんの多くは教員養成系大学・学部を卒業されていると思います。その過去の経験から考えて、そんなに多くの現場経験者はいなかったと思っている。しかし、からくりがあります。
多くの大学には、教育実習担当、進路指導担当の実務経験者の特任教員がいます。多くの学生さんは、それらの教員をセンターの先生と分類し、一般的な教授・准教授とは分けていると思います。上記の通達は一般的な教授・准教授の2割以上を実務経験者にすることではなく、センターの先生を含んだ教員が対象にすると言うことです。それだったら多くの実務経験者が大学教員になっていますよね。
もう一つの仕掛けがあります。
多くの人たちは全教員の2割以上だと思っています。違います。設置の最低数の2割以上です。例えば教員の数が80人いたとして、設置の最低限の人数が40人だとすれば、40人の2割以上なのです。
これを理解するには補足の説明が必要です。
多くの国立大学ではかつては70人から80人がいました。理由は全教科の大学院修士課程を立ち上げるためには、それだけの人数が必要だったのです。だから、学部に必要な設置人数より多くの教員がいました。理科で具体的に説明すれば、大学院を維持するためには物理、化学、生物学、地学、理科教育の5分野に2名の教員が必要です。学部にはそれぞれ一人いれば良いのです。ところが教職大学院になれば、全学で20人程度の教員が最低人数なので、今は学部の最低人数を上回る教員が大学にいます。その2割以上なのですから、余裕です。
じゃあ、なんでこんなことをするのか?
理由は、何の苦労も無く、我々は対策をしていますというポーズがとれるからです。それに、今の段階でネットサーフィンをして下さい。このからくりを暴く記事は一つもないですよ。つまり、文部科学省はある程度は成功したと言うことです。でも、私のように暴く人がいる。民主国家の良いところです。