私の蔵書の殆どはpdf化しています。ところが、ごく少数ながらそれが出来ない本があります。私を知る多くの人には意味不明だと思います。
古いところ oだと、コンラート・ローレンツやニコ・ティンバーゲンの本です。私が大学で生物学を学ぼうと思ったきっかけです。次は学部に入ってからのMolecular Biology of the Geneです。名著で和訳もありましたが、原典の方がわかりやすいことにビックリしました。次は高木貞治の解析概論と代数学講義です。生物学の曖昧さにイライラし、その基礎を学ぼうとして、生化学、有機化学、理論化学、物理化学、物理学の本を読み最終的に数学に至りました。生物専攻の学生の独学で読み解くのですから、無茶です。しかし、数学の良いところは、一つ一つを着実に押さえれば前に進みます。そして、分かると頭の中で完結することが良いです。色々と読みましたが、位相幾何学、集合論あたりが一番楽しかった。それにしても、数学の本は原典が圧倒的に分かりやすい。
数学は楽しいのですが、生物学研究には役に立ちません。数学の本を読むに当たって教えてくれた生物物理学の石坂先生の研究室に入りました。研究室ではスレーター・プランクのIntroduction to Theoretical Physicsを読みました。日本語訳もありましたが、原典の方がわかりやすかったです。その当時はファイマン物理とバークレーのフィジカルコースを読みました。これまた原典の方が分かりやすい。
教育の修士に入学してから古典と言われるものを読みました。コメニウス、ヘルバルトなどです。全く意味を見いだせん。でも、読んだので、意味ないことをはっきりと自覚しました。手元に残ったのはガニエ、オーズベルの本です。これは和訳がないので原典を読みました。面白かったです。
私はコンピュータ専門家として大学に採用されました。大学院時代に学んだFoeren77no
本や、Z80のようなチップの本や機械語・アセンブラの本を読みました。
最後のターンは認知心理学です。なんかのきっかけでクラツキーの記憶のしくみを読みました。それ以降、日本語訳されている認知心理学の本は読みあさりました。原典より和訳の方が分かりやすい。例外は、アンダーソンの認知心理学です。あれは原典の方が分かりやすい。
これ以降の本は全てPDFにしています。
ただし、退職後の私の本棚の多くを占めるのは亀井勝一郎全集です。私が全集を求めたのは中高時代の今西錦司全集以来の40年ぶりです。
目の前にある過去の本を読むことはないでしょう。背表紙を見てれば心豊かになれる。たたし、亀井勝一郎は、読みながら心豊かになります。
以上、若い人には全く意味不明でしょうね。皆さんが読んで、大事にしている本は、多くは捨てられるのです。あなた方の人生に繋がるとき意味を持つ。