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次元

 認知研究から『学び合い』研究にシフトしたのは、1999年です。その成果を本にまとめたのは2000年です。この頃は熱心な一部の人に知られているレベルです。『学び合い』が一気に広がるスタートブックが出版されたのは2010年です。アクティブラーニング本が出始めたのは2015年です。アクティブラーニングを理解する結果として、教育ではなく社会に目を向けるようになりました。その結果として2016年以降、『学び合い』でない本を出し始めました。

 しかし、今の今まで、一度たりとも『学び合い』は卒業だなんて思ったことはありません。そりゃ、昔の自分を捨てました。だって、私は一段階深い『学び合い』に進化したのですから。

 私の好きなドラッカーの言葉です。

 「自らの製品、サービス、プロセスを自ら陳腐化させることが、誰かに陳腐化させられることを防ぐ唯一の方法である。」

 私は生涯をかけて、教え子に語ったことを、今では笑える自分にしました。しかし、私が願った思いを笑ったことはありません。その願いを実現する手段を進化させたのです。

 最初は、話し合い活動を深化したいと思いました。

 次は、人間関係を深化したいと思いました。

 次は、学力と人間関係を融合したいと思いました。

 次は、グレーゾーンの子どもも救いたいと思いました。

 次は、異なったクラスを集団にしたいと思いました。

 次は、教員集団を有機的集団にしたいと思いました。

 次は、保護者・地域の人を巻き込んだ地域コミュニティを再生したいと思いました。

 ここまでは広がりの拡大です。

 以降は、1条校の与える幸せが限定的であることを理解し、正統的周辺参加レベルでリアルに考えるようになりました。

 実は、この過程の中で、ゼミ生との関わりも変わり、西川ゼミの文化も変わりました。

 ゼミ生(オンライン、オフラインとも)の日々の悩みは、クラス単位の学力向上や人間関係の向上です。しかし、彼らの多くはそれを私に聞きません。だって、『学び合い』のセオリーが指し示す結果は自明です。

 多くの方が西川研究室に学びに来ます。その方が驚くのは、「西川先生に質問する応えと、ゼミ生に質問する応えが全く同じなのです」と言われます。しかし、私にとっては馬鹿馬鹿しいです。だって、23+547はいくつですかを私に聞いても、ゼミ生に聞いても同じですよね。『学び合い』のセオリーはそれほど完成されています。その方が、そのレベルの上を聞けば、聞かれるゼミ生によって変わるでしょう。

 私は退職し、関わる人を限定します。

 願わくば、実践レベルにとどまるのではなく、私のレベルまで来てほしい。クラスレベルの『学び合い』なんて、分かりやすいけど、それを俯瞰できる人がほしいのです。クラスレベルの『学び合い』で「やる・やらない」の情報が流れると、ゲンナリします。

 日本を変えましょう。私が書いていることは、数年後には実現するレベルです。ずっと先ではない。そのとき、おそらく当人は生き残れます。問題は、子どもと、若手教員です。両者を救う道は、自身が卒業したクラス単位の『学び合い』なのです。