昨日のオンラインゼミでの質問に以下のようなものがありました。
そのゼミ生は体育教師なので体育祭の準備の中心者だと見なされています。体育祭の準備の時期になると、「もっとキビキビできないか」という指摘がされるのです。毎年、モヤモヤしていやな気分になるのですが、どうしたらいいでしょうか？という質問です。私のアドバイスは以下の通りです。なお、この手の質問に対する私の応えは、非常に定型的です。
第一段階は、その要求に応えられないということを確認し、応える方法を探るという非生産的な思考からの解放です。具体的には、以下のように言いました。
『学び合い』実践者であるあなたの場合、クラスをリードする子どもを納得させなければならない。で、「キビキビする」ことの妥当性や利害を説明できる？（首を振る）だったら、そもそもその要求には応えられない。もちろん、それを省略して「とにかくやれ」と指導すればそれらしきものにはなるけど、そうすればあなたの『学び合い』実践に障害が生じてしまう。信頼を失うことになる。
やらないということが分かった後には、「でも、やらなかったら悪いことがあるのではないか」という不安が生じます。そこで、第二段階では、「やらなくても、何も起こらない」ことを説明します。
学校長だって、あなたには何も出来ない。学校長は職務上の命令は出来るけど、その命令は法令に基づかなければならない。具体的には、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行令、学校教育法施行規則、地方公務員法、教育公務員特例法等だよ。何度も言っているけど、それらは読むべきだ。細かいことが分からなくても、そこに書かれているものの殆どは、校長および事務職の人を縛るけど、教諭を縛る文言はない。教諭を縛るものとしては学習指導要領があるけど、そこには「きびきび」なんていう文言はない。だから、命令ではなく、指導・助言のレベルと言うことだ。だから、自分が納得しなければ聞き流しても問題は無い。もしも校長がごちゃごちゃ言ってきたら、「それは職務命令ですか？ならば文書でお渡しください。当然ですが、校長の職務命令は法規に基づかなければなりません。それを明記してくださいね」と言えば、チャックメイト。ただし、事を荒立てないように、ニコニコと分からないから教えてという態度で言って、のらりくらりすれば良い。つまり、校長ですらその程度なのだから、他の人はさらに従わなければ良い。
最後にアドバイスをしました。
この手の質問は、あなたにも何度も言ったし、他の人にも言ったことを横で聞いたと思うよ。つまり、何度も聞き返す必要があるんだよ。だから、グーグルカレンダーみたいなものに４月下旬に「西川先生に、キビキビといわれたらどうするかを聞く」という予定を入れて、毎年繰り返す設定にすれば良い。そうすれば、来年も全く同じアドバイスをするから。
人というのは実際の問題に陥ると視野狭窄が起こりがちです。だから、先達のアドバイスは常に必要なのです。
