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優先事項

 若い頃の私、いや同年代の人の優先事項は、自分の容姿・ファッションでした。それにどれほどの時間とお金を費やしたか。でも、自分が付き合いたいと思う人に好意を持たれなければ意味がない。私の教え子が「結婚する人以外の人と交際する意味が分からない」と言われたとき、唖然としました。普段はヘラヘラしているその人が、とっても格好いいと思いました。

 その真実は、一定年齢以上の大人で、幸せな家庭を持っている人には自明のことです。しかし、二十代前半のその人が気づけたのが謎です。なにしろ、容姿・ファッションが高評価を受ければ、狭い檻の中に閉じ込められた野生動物の世界(教室)においては自動的に高いポジションが約束されるからです。

 もう一つは、勉強ができるといいという優先事項です。私の感覚で言えば、偏差値が10違えば見える景色も違うでしょう。しかし、5程度ではそれほど変わりません。結局、一番大事なのは、入学してから、どの人を師と選べたかの方が大事です。務めてからは、どの人をボスと選べたかの方が大事です。だから、高校生の場合は、進学希望の大学の教員を調べるべきです。

 私の場合は、若い頃は自分の容姿・ファッションに意識を集中しました。ただし、その結果としてひげを生やし、トラッドの服を選び、パイプをくゆらすという馬鹿げた方向に行きました。偏差値を信じ、集中した受験勉強によって20以上偏差値を上げました。ただしそれは出発点、今があるのはよき伴侶と結婚できて、生涯、よき師、よき先輩、よきボスを得続けたためです。本当に、よき伴侶、よき師、よき先輩、よきボスの大事さを分かっていれば、容姿・ファッション・偏差値は重要ではなかったと思います。

 薄皮一枚の世界を生きていました。